Renee Rosnes / Written in the Rocks

Renee Rosnes (P)
Steve Nelson (Vib)
Peter Washington (B)
Bill Stewart (Ds)
Steve Wilson (Fl, Ss, As)
Rec. June 15-16, 2015, NYC
(Smoke Sessions Records SSR1601)

リニー・ロスネスのリーダー作を買うのは「Renee Rosnes/Manhattan Rain(10年、別頁あり)」以来だが、サイド参加のアルバムが「SF Jazz Collective/Live 2009 - 6th Annual Concert Tour(09年)」「Lewis Nash Quintet / The Highest Mountain(12年)」「Michael Dease / Coming Home(13年)」「Tom Kennedy / Just Play!(13年)」(各別頁あり)とコンスタントにリリースされているので、久しぶりという気はあまりしない。本作のメンバーのスティーヴ・ネルソン、ピーター・ワシントン、ビル・スチュワートは上記「Manhattan Rain」から引き続き。そこに「Coming Home」で一緒だったスティーヴ・ウィルソンもゲスト的とはいえ7曲に参加で、はたしてどういうことになっているのか楽しみだ。

全9曲がロスネスのオリジナル。うち1~7曲目は「The Galapagos Suite」と題した組曲となっている。
組曲をやっているだけあって、かなり気合の入った曲作り。フルートを鳥の鳴き声に見立てたりしていることからして、おそらくタイトル通りにガラパゴス諸島をイメージして作ったのだと思うけど、ストーリー性が感じられる曲進行がいい感じだね。トータルサウンド重視している分、曲によってはロスネスのアドリブをたっぷりと堪能というわけにはいかないけれど、それでも2曲目「Galapagos」では、ロスネスにしては珍しくマッコイ・タイナー調のプレイでガツンといっているし、3曲目「So Simple a Beginning」なんかでも女性らしいリリカルなプレイで聴かせてくれるので(4曲目「Lucy from Afar」ではもろチック・コリアを意識しながら弾いているのが微笑ましい)、物足りなく感じるようなことは全くない。またウィルソンも場面に応じてフルート、ソプラノ、アルトを持ち替えながら、なかなかの貢献ぶりを見せているし、ネルソンもアドリブだけではなく、例えば5曲目「Written in the Rocks」の出だしの部分のようなルバートのユニゾンであってもロスネスとピタリと息が合っているし、バッキングだけでも十分にカッコいいワシントンとビルスチュにもソロの見せ場が用意されていて、ロスネスはもちろんメンバー全員がいい感じのプレイで楽しませてくれる。
そんな演奏には何も不満はないのだが(アルバムとしての動と静のバランスも良好)、録音(エンジニアはChris Allen)はドラムスが若干奥まって聴こえるのはバンドの編成上仕方がないとして、バスドラが小さく録れているのは気になるところ。そのせいでビルスチュの上手さがストレートに伝わってこないので、できれば「Kendrick Scott Oracle / We Are The Drum(15年、別頁あり)」や「Mike Moreno / Lotus(15年、別頁あり)」のように、きちんとしたバランスで録ってほしかった。

評価☆☆☆☆ (☆最悪!、☆☆悪い、☆☆☆普通、☆☆☆☆良い、☆☆☆☆☆最高!) 

Written in the Rocks
Renee Rosnes
Smoke Sessions Rec
2016-02-05