Misha Tsiganov / Spring Feelings

Misha Tsiganov(P)
Alex Sipiagin(Tp, Flh)
Seamus Blake(Ts)
Hans Glawischnig(B)
Donald Edwards(Ds)
Rec. September 8, 2015, NY
(Criss Cross 1384)

ミシャ・シガノフを聴くのは「Misha Tsiganov / Dedication(12年、別頁あり)」「Misha Tsiganov / The Artistry Of The Standard(14年、別頁あり)」に次いで、本作で3枚目。サイド参加のアルバムには一度もお目にかかったことがないけれど、リーダー作には同じくロシア出身のアレックス・シピアギンが必ず参加しているので、もしかすると言葉の壁が障害になっているのかもしれない。本作のメンバーは前作「The Artistry Of The Standard」とほぼ同じで、ベースがボリス・コズロフからハンス・グロウィシュニクに代わっただけだが、音楽的にはどのように変化しているのかが興味深い。

シガノフ曲が5曲、ショーターの「Yes or No」「Infant Eyes」、スタンダードの「You and the Night and the Music」「The Night has a Thousand Eyes」で全9曲。
メンバー中3人(シピアギン、シーマス・ブレイク、ドナルド・エドワーズ)がOpus 5のメンバーでもあるので、演奏的にどことなく似ている感は否めないけど(同じCriss Crossからのリリースなのも関係している)、それでも1曲目の「You and the Night and the Musis 」や7曲目「The Night has a Thousand Eyes」が非常に凝ったアレンジになっていたりして、これはこれでなかなかいい感じ。「The Artistry Of The Standard」ではショーターの「Fall」「This is for Albert」をやっていたけど、こちらでは「Yes or No」「Infant Eyes」を取り上げているということは、シガノフはよほどショーターの楽曲が好きなのだと思うけど、そのショーターとはマイルスの黄金クインテットで一緒だったハンコックをそれ以上に敬愛しているようで、オリジナルの楽曲からもピアノの奏法からもハンコック的なモーダルな雰囲気が漂っているのが、私の好みとも合致している。バンドとしての演奏はシピアギン、ブレイクのフロントをメインに、中にはピアノトリオだけの曲もあったりするけれど、各人とも自分の持ち味をきっちりと発揮しているおかげで、どの曲もノリノリで楽しませてくれる。今回はベースがグロウィシュニクに代わっていて、リズム面においても強化されているような感じがするね。エドワーズはリーダー作「Donald Edwards / Prelude To Real Life(15年、別頁あり)」も同時リリースされているけれど、録音年月日が6日しか違わないためか、ここでも絶好調のプレイをしているので、私としてはそれだけでも買ってよかったという気分になってしまう。
ということで本作にはなにも文句がないのだが、前作のところでも書いたように、シガノフはデヴィッド・キコスキやジョージ・コリガンあたりと同系統のピアニスト(ハンコック派)なので、やはり何らかの差別化を図らないとずっとアメリカでやっていくのは難しいかも。かといってジャズの手法は既に出尽くしていると思うので、これ以上のことはやりようがないかもしれないけどね。音楽的なことはじっくり考えることにして、まずは多くのアルバムにサイド参加して名前を売ることが先決だろう。本作は演奏だけではなく、録音(エンジニアはマイケル・マルシアーノ)も各楽器が過不足のない良い音で録れていて好感が持てる。

評価☆☆☆☆ (☆最悪!、☆☆悪い、☆☆☆普通、☆☆☆☆良い、☆☆☆☆☆最高!) 

Spring Feelings
Misha Tsiganov
Criss Cross
2016-02-19