Hiromi / Spark

Hiromi(P, Key)
Anthony Jackson(Cantrabass-G)
Simon Phillips(Ds)
Rec. October 9-12, 2015, Connecticut
(Telarc TEL38247)

上原ひろみのアンソニー・ジャクソン、サイモン・フィリップスによるザ・トリオ・プロジェクトの、「Hiromi / Voice(11年)」「Hiromi / Move(12年)」「Hiromi / Alive(14年)」(各別頁あり)に次ぐ4枚目。どんなに素晴らしいバンドであっても長年同じメンバーでやっているとサウンドの想像が付いてしまい、早く聴いてみたいというワクワク感がなくなるものなので、今回も前作同様に先行発売の国内盤ではなく、価格が1,000円ぐらい安い輸入盤の方を購入。SHM-CDの音が良いと思ったことも一度もないので、オーディオ的にもこれ(普通のCD)で十分だ。

全9曲が上原のオリジナル。
やっていること自体は過去3作とも変わらないと思うけど、いいものはやっぱりいいね。本作でも各人が持ち味を存分に発揮しながらの超テクニカルな演奏が堪能できる。変拍子やキメのフレーズはビシバシ決まっているし、スピード感も半端ではなくて、アルバムタイトルにもなっている1曲目「Spark」から早くもノックアウトされるのだが、もちろん単にテクニカルなだけではなく、綺麗な旋律のフレージングなんかも用いたりしているので、基本的にはリズム重視のトリオではあるけれど、メロディー志向の人であっても楽しめるのではと思う。とはいえ今回はビリー・コブハム直系のフィリップスのドラミングがこれまで以上に冴えわたっていて、ドラムソロの見せ場も多く用意されているので、人によっては演奏がヘビーに感じてしまうかもしれないけどね。あと純ジャズしか聴かない人にとってもこの手のテクニカル・フュージョンは合わないと思うけど、ワタシ的にはあまりの演奏のカッコよさにグイグイ引き込まれてしまい、このような駄文をダラダラ書いている場合ではなくなってしまった。
ということでこれ以上のことを書くのは止めにするけれど、音楽的には大きな変化が感じられないにしてもマンネリには全く感じさせないどころか、上原の全てのアルバムの中で一番良いとさえ思わせてくれるのだから、このトリオがどれだけ凄いのかということになる。録音(エンジニアはMichael Bishop)も各楽器が最高に良い音で録れていて、本作は文句なしの5つ星。おそらく今年の私的ベストアルバムのフュージョン部門第一位もこれに決まりだろう。

評価☆☆☆☆☆ (☆最悪!、☆☆悪い、☆☆☆普通、☆☆☆☆良い、☆☆☆☆☆最高!) 

SPARK
Hiromi
ユニバーサルミュージック合同会社
2016-03-23