Chick Corea & Béla Fleck / Two

Chick Corea(P)
Bela Fleck(Banjo)
Rec. 2015?
(Stretch Records-Concord Jazz CJA37992)

Chick Corea, Bela Freck/The Enchantment(07年、別頁あり)」に次ぐチック・コリアとベラ・フレックの共演作。録音年月日と演奏場所はクレジットに明記されていないけど、HMVレビューには8年ぶりに再会と書いてあるし、Chick & Béla Fleckのサイトにも来年のツアー・スケジュールが上がっているので、最近のライブの収録なのは間違いないだろう。本作のプロデュースはフレック、コ・プロデュースはコリアが担当している。

コリア曲が5曲、フレック曲が6曲、Ary Barroso & Sidney Russellの「Brazil」、Jack Pettis, Billy Meyers, Elmer Schoebelの「Bugle Call Rag」、Henri Dutilleuxの「Prelude en Berceuse(from Au Gre des Ondes)」で全14曲(MC除く)。
お互いのフレーズに敏感に反応し合いながらの演奏となっているのは「The Enchantment」とも変わらないと思うけど、さすがにライブだけあってますます丁々発止なバトルを繰り広げているのが素晴らしい。コリアがデュオをするときは誰とやってもだいたいこんな感じだけど、それに対抗しているフレックがコリアに負けない超絶技巧で聴かせてくれるおかげで、ぐいぐいと演奏に引き込まれる。テーマのアンサンブルなんかも完璧で、非常にテクニカルな演奏には終始圧倒されてしまうのだが、スリリングさの連続だけではなく、場面によってはニヤッとさせるようなコミカルな部分もあったりして、適度なリラックス感も味わえるのが、2枚ぶっ通しで聴いても疲れないことに繋がっているし、ノーカットで収録されているMCも緊張を解きほぐすためのいい箸休めとなっているね。「Children's Song No.6」「Armando's Rhumba」以外は殆どの曲がこのデュオのために作曲されたと思われるオリジナルの楽曲(「The Enchantment」でやっている曲も数曲あり)も、「Brazil」等の他人の楽曲もどれもがみんないいけれど、例えばDisc1の3曲目「Menagerie」のようなスパニッシュな曲調のはコリアの曲かと思ってクレジットを見るとフレックの曲だったり、あるいはその逆パターンもあったりして、相手を意識した曲作りとなっているのが、ただでさえ一心同体感のある演奏に輪をかけていて非常に好感が持てる。Disc2の4曲目「Bugle Call Rag」はもろカントリーだけど、こういう曲を演奏しているコリアはこれまで聴いたことがなかっただけに、興味の度合いも一段と増すね。
トータル115分の長丁場ではあるけれど、ギターのようにサステインの効かないバンジョーという楽器の特性とコリアのリズミカルな音楽性が相まって最高の演奏が楽しめて、本作は文句なしの5つ星。録音もバーニー・カーシュがエンジニアだけあって非の打ち所がないし、2枚組ながらも2,106円という価格(HMVのセール利用)も良心的だ。

評価☆☆☆☆☆ (☆最悪!、☆☆悪い、☆☆☆普通、☆☆☆☆良い、☆☆☆☆☆最高!) 

Two
Chick Corea
Concord Records
2015-09-11