Randy Brecker / Randy Pop!

Randy Brecker(Tp with Effects, Voice)
Kenny Werner(P, Key, Arrangements)
David Sanchez(Ts)
Amanda Brecker(Vo)
Adam Rogers(G)
John Patitucci(B)
Nate Smith(Ds)
Rec. 2015?, NY?
(Piloo Records PR009)

ブレッカー・ブラザーズ・リユニオンの「Randy Brecker / The Brecker Brothers Band Reunion(13年、別頁あり)」あたりからまたフュージョン志向が強くなっているように感じられるランディ・ブレッカーだが、本作はタイトルからして「Randy Pop!」と売れ線狙いとなっているのが気になるところ。でも娘のアマンダ・ブレッカーはさておき、ケニー・ワーナー、デヴィッド・サンチェス、アダム・ロジャース、ジョン・パティトゥッチ、ネイト・スミスのそうそうたる面々なので、単なるポップな演奏だけには終わっていないと思うけどね。もしそうだとしても、このメンバーでのライブは興味深いものがある。

ドナルド・フェイゲンの「New Frontier」、ベット・ミドラーの「Let Me Just Follow Behind」、BS&Tの「I Can't Quit Her」、トッド・ラングレンの「Hello It's Me」、ガーランド・ジェフェリーズの「Ghost Writer」、ジェームス・ブラウンの「Think!」「I've Got a Bag of My Own」、ブルース・スプリングスティーンの「Meeting Across the River」、ポール・サイモンの「Late in the Evening」で全9曲。アレンジはワーナーが担当している。
悪くはないけど、そんなに良くもないって感じ。数曲で歌っているアマンダの参加にはランディの親バカぶりが感じられるし、パティトゥッチのこれまでとは違ったエレベの音色(「John Patitucci Electric Guitar Quartet / Brooklyn(15年、別頁あり)」に写っているベースを使っているのだろう)や、曲調に合わせて比較的シンプルに叩いているスミスのドラミングに加えて、昔を懐かしんでいるかのような選曲も、アレンジが思ったほどは面白くないことが相まってイマイチ感がある。肝心のランディのトランペットも、エフェクターを噛ましながらのハッタリを利かせたプレイはこれまでも散々やってきているので新鮮味はないし、6曲目「Think!」でのしゃべりに合わせたインプロ的な演奏も、原曲は知らないけれど、ワタシ的には「The Billy Cobham - George Duke Band / "Live" On Tour in Europe(76年)」中の「Space Lady」のパクリのように思えてしまう。そんな中サンチェスとロジャースだけはなかなかいい仕事をしているけれど、バンドとしては古めかしさが漂っていて、フュージョンをやるときは常に最先端をいっているいつものランディとは様子が違っているのが残念。1曲目「New Frontier」や9曲目「Late in the Evening」のような、昔は狂ったように聴いていた曲も、アマンダのヴォーカルやアレンジのせいで変な違和感を感じるしね。とはいえトータル78分の長丁場を決して長くは感じさせないのは、なんだかんだ言ってもこの手の演奏は基本的に好きだからなのだろう。
アマンダを除いてこれだけやり手のメンバーが揃っているのだから、できればもっと新しい音楽をやってほしかったのだが、ランディにしてみるとマイケルが亡くなってからは純ジャズの方に力を注ぎ過ぎて、その反動でこういうのをやってみたかったのかもしれない。その演奏は70年代にスティーヴ・ガッドらがスタジオ仕事帰りにミケールズでセッションしていたのが元となって結成されたStuff、あるいは当時マイケルと2人で経営していたセブンス・アヴェニュー・サウスで盛んに行われていたであろうセッションにも通じるものがある。録音は全体的にもっさり感はあるものの、各楽器のバランスは良好だし、演奏にもよくマッチしていると思う。

評価☆☆☆ (☆最悪!、☆☆悪い、☆☆☆普通、☆☆☆☆良い、☆☆☆☆☆最高!) 

Randypop
Randy Brecker
Piloo Records
2015-09-18