Roberto Gatto Quartet / Sixth Sense

Roberto Gatto(Ds)
Avishai Cohen(Tp)
Francesco Bearzatti(Ts, Cl)
Doug Weiss(B)
Rec. March 2-3, 2014, Rome
(Sixth Sense MPR066)

ロベルト・ガットのリーダー作は、「Roberto Gatto/Traps(07年)」「Roberto Gatto Quintet/Remembering Shelly(10年)」「Roberto Gatto Quintet / Remembering Shelly #2(10年)」「Roberto Gatto and Lysergic Band / Pure Imagination(11年)」「Roberto Gatto, Alessandro Lanzoni, Gabriele Evangelista / Replay(12年)」(各別頁あり)を聴いてきたのだが、本作は「Aldo Romano / Complete Communion To Don Cherry(10年、別頁あり)」に対抗してなのか、ピアノレス編成となっているのが興味深い。アルド・ロマーノ盤のトランペットはファブリツィオ・ボッソだったけど、こちらの方もアヴィシャイ・コーエンなのだから、はたしてどういうことになっているのかワクワクする。他のメンバーのフランチェスコ・ベアルザッティ(?)はこれが初聴き。本人のサイトを見ると9枚のリーダー作をリリース。またサイドマンとしては80枚近くのアルバムに参加しているけれど、ロマーノとはその中の「Aldo Romano / Because of Bechet(02年)」でも共演しているんだね。ベースのダグ・ワイスは、近作では「Adam Birnbaum, Doug Weiss, Al Foster / Three of a Mind(15年、別頁あり)」に参加していた。

ガット曲が3曲、デイヴ・ブルーベックの「Sixth Sense」、Alfonso Santimoneの「Hat on the Bobcat」、エド・ブラックウェルの「Togo」、マル・ウォルドロンの「Dee's Dilemma」、エリントンの「Black and Tan Fantasy」、チャールズ・ミンガスの「Remamber Rockefeller at Attica」、ホレス・シルヴァーの「Peace」で全10曲。
ガットのオリジナルの1曲目「One for Avi」からして、「Aldo Romano / Complete Communion To Don Cherry」とも共通するオーネット・コールマン的な雰囲気が漂っているということは、やはり相当意識しているのかもしれない。といってもフリージャズをやっているわけではなく、ちゃんとコード進行に則った演奏をしているので(ロマーノ盤も同様だけど)、コード楽器レス編成が苦手という人であっても聴き疲れすることはないだろう。このレコーディングのためにアメリカから呼ばれただけあって、さすがにコーエンは自分の持ち味を最大限に発揮したプレイをしているのだが、それには負けじとベアルザッティもテナーの他に曲によってはクラリネットも用いて大活躍していて、なかなかの芸達者ぶりを魅せつけてくれる。コルトレーン的な速いパッセージはあまり得意としていないようだけど、それが独自の個性に繋がっているような感じ。またワイスもこれまで聴いてきたマーク・コープランド、ジム・ロトンディ、アル・フォスター等のアルバムよりも、こちらの方が演奏的によくマッチしているような気がするし(ソロもグッド)、主役のガットもいつも以上に気合の入ったバイタリティー溢れるドラミング(ドラムソロも多い)で楽しませてくれる。7曲目「Unknown Shape」(ガット曲)までは比較的ダークな曲調が続いているけれど、エリントン曲の8曲目「Black and Tan Fantasy」では、出だしの部分でジャングル・スタイルやディキシー的なものを加味しながらの明るめでのどかな演奏が、アルバム構成のとてもいいアクセントとなっている。こういう曲調になるとベアルザッティのクラリネットのよさも一段と生きてくるし、コーエンのミュートを駆使したプレイも絶品だね。
演奏はどの曲も良好だし、録音(エンジニアはMassimo Aluzzi)も各楽器が自然な感じで録れていて上々で、これまで聴いてきたガットのリーダー作の中では本作が一番気に入った。

評価☆☆☆☆ (☆最悪!、☆☆悪い、☆☆☆普通、☆☆☆☆良い、☆☆☆☆☆最高!) 

Sixth Sense
Roberto Gatto Quartet
Parco Della Musica
2015-04-28