Christian McBride Trio / Live at the Village Vanguard

Christian McBride(B)
Christian Sands(P)
Ulysses Owens, Jr.(Ds)
Rec. December 12-14, 2014, at The Village Vanguard, NY
(Mack Avenue MAC1099)

前作「Christian McBride Trio / Out Here(13年、別頁あり)」が最高に良かったクリスチャン・マクブライド、クリスチャン・サンズ、ユリシーズ・オーウェンスJrのトリオだけど、本作はライブ盤なので、ますますいい感じの演奏が楽しめそうだ。ちなみにここでのオーウェンスJrはGretsch(ジャケットにはGrestchと誤表記)のドラムを使っているのだが(その前はYAMAHAだったと思う)、先日東京ジャズへの出演等でニュー・センチュリー・ジャズ・クインテット(「New Century Jazz Quintet / In Case You Missed Us(15年)」別頁あり)で来日したときにはTAMAだったので、今年に入ってから新たに契約したのだろう。他にもピーター・アースキン、ビリー・コブハム(出戻り)がエンドーサーとなっていて、SAKAEに負けじと最近はTAMAもジャズ系ドラマーの獲得に懸命なようだ。

ウェス・モンゴメリーの「Rried Pies」、J.J.ジョンソンの「Interlude」、サンズの「Sand Dune」、ロッド・テンパートンの「The Lady in My Life」(マイケル・ジャクソンのヒット曲)、レイ・ノーブルの「Cherokee」、Irene Higginbothamの「Good Morning Heartache」、トラディショナルの「Down By The Riverside」、ノーマン・ホイットフィールドの「Car Wash」で全8曲(MCのみのT2「Band Introduction」は除く)。
「Christian McBride Trio / Out Here」と同様のスウィンギーな演奏の中、各人が素晴らしいテクニックとフィーリングで、その上手さを魅せつけてくれる。ウォーキングベースだけでも存在感がたっぷりなマクブライドは、ソロでも驚異的なテクニックを出し惜しみせずに披露しているし、サンズもよほど調子がよかったのか、速弾きを主体とした美味しいフレーズの連発で楽しませてくれるし、オーウェンスJrもいつもながらの元気いっぱいのドラミングで容赦なくいっていて、他のピアノトリオとは一味違った活力あふれる、なおかつハートフルな演奏が堪能できるのだが、それにはミディアムテンポ以上のノリのいい曲がメインとなっているのも大いに関係しているね。特に3曲目「Interlude」や「Out Here」にも収録されていた6曲目「Cherokee」のアップテンポの演奏には大興奮。それと9曲目「Car Wash」のファンキー(ソウルフル)な演奏なんかも、出だしの拍手からしてノリノリになってしまう。またそういう曲があるからこそ、逆に5曲目「The Lady in My Life」や7曲目「Good Morning Heartache」のようなしっとりと落ち着いたバラード演奏も生きてくる。近年はこのようなテンポ的にメリハリの効いた曲配列になっていないアルバムもずいぶん増えていて(一昨日聴いた「Perez, Patitucci, Blade / Children of the Light」なんかもそう)、それがジャズをつまらなく感じさせる要因にもなっているので、速い曲の後にはバラードをやるとかの、リスナーの心理を考えながらのまっとうな曲配列となっているだけでも嬉しい気分になってしまった。
同じメンバーでの2枚目ということで、前作ほどの衝撃や新鮮味は感じられないけれど、オスカー・ピーターソン・トリオにも通じる明るくてスウィンギーな演奏は誰にでも受け入れられるのではと思う。録音もVillage Vanguardでのライブ盤としては上々なのだが、できればシンバルはもう少し大きい音で録ってほしかった。

評価☆☆☆☆ (☆最悪!、☆☆悪い、☆☆☆普通、☆☆☆☆良い、☆☆☆☆☆最高!) 

ライヴ・アット・ザ・ヴィレッジ・ヴァンガード [日本語帯/解説付] [輸入CD]
クリスチャン・マクブライド・トリオ
Mack Avenue / King International
2015-09-20