Perez, Patitucci, Blade / Children of the Light

Danilo Perez(P, Key, Panamanian Drum)
John Patitucci(Ac-B, El-B)
Brian Blade(Ds, Chekere)
Sachi Patitucci(Cello)8
Rec. 2015?, NY
(Mac Avenue MAC1104)

手元に未聴新譜がない状態がずっと続いていたのだが、一挙に7枚入荷したので、まずは早く聴いてみたかった本作からいってみよう。ウエイン・ショーター・カルテットのメンバーでもあるダニーロ・ペレス、ジョン・パティトゥッチ、ブライアン・ブレイドは、ペレスの過去作品「Danilo Perez / ...Till Then(03年)」や前作「Danilo Perez / Panama 500(14年、別頁あり)」でも共演しているけれど、トリオだけでのレコーディングはたぶんこれが初めて。3人の共同名義になっているということは、ペレスだけではなく、パティトゥッチとブレイドの音楽性も楽曲に加味されているのだろう。ショーターに捧げた作品ということで、よりいっそう気合の入った演奏が楽しめそうだ。

ペレス曲が7曲、パティトゥッチ曲が3曲、ブレイド曲が1曲で全11曲。
どの曲もきっちりと構築されているので、出たとこ勝負的な要素もありのショーター・カルテットと比べると、綺麗に纏まりすぎのような気がしないでもない。それでも曲調の範囲内ではテンションの高い演奏となっているので、これはこれで悪くはないのだが、もっとダイナミックでガツンとくる演奏を想像していただけに肩透かしを食らってしまう。それにはなんとなく似通っているように感じられるペレスの曲(非4ビート)が大半を占めていることも関係しているね。確かにこれにショーターが加わればいつも通りの演奏になりそうだけど、ダイナミクスに欠けているせいで、どうしても平坦に感じてしまう。逆に考えるとショーター・カルテットがあれだけ抑揚のある演奏をしているのは、ショーターのプレイに3人がインスパイアされている結果なのだろう。いずれにしても緻密な曲作りが裏目に出てしまったようで、私としてはイマイチ演奏に乗り切ることができないし、曲によってはエレベに持ち替えながら、それなりに自己主張しているパティトゥッチはまだしも、ブレイドに関しては終始小音量ドラミングに徹していて、ドラムソロを一切取っていないのにもがっかりしてしまった。
ということで本作は期待していたほどではなかったのだが、この聴き終わってのモヤモヤ感は、同じくパティトゥッチ、ブレイド入りの「Edward Simon/Unicity(06年、別頁あり)」「Edward Simon Trio/Poesia(09年、別頁あり)」とも共通するね。3人の名義であるにもかかわらずペレスだけが目立っていて、パティトゥッチとブレイドは自分の持ち味を十分に出し切れていないのが残念。録音も各楽器がバランスよく録れているし音質も良好ではあるものの、オーディオ的な快感を得るまでには至らなかった。

評価☆☆☆ (☆最悪!、☆☆悪い、☆☆☆普通、☆☆☆☆良い、☆☆☆☆☆最高!) 

Children of the Light
Perez Patitucci Blade
Mack Avenue
2015-09-18