Antonio Farao(P)
Mauro Negri(Ts, Ss)
Martin Gjakonovsky(B)
Mauro Beggio(Ds)
Luigi Di Nunzio(As)4,6
Rec. April 21-22, 2015, Italy
(Verve 4741410)
「Antonio Farao / Domi(11年、別頁あり)」「Antonio Farao American Quartet / Evan(13年、別頁あり)」と子供に捧げた作品が続いていたアントニオ・ファラオだが、本作では「Aldo Romano/Just Jazz(08年、別頁あり)」に参加していたマウロ・ネグリ以外は全然知らない人たちと共演しているのが興味深い。各人の経歴等をいちいち調べるのは大変なので、名前をマルティン・ヤコノフスキー、マウロ・ベッギオ、ルイジ ・ディ・ナンジオと読むことだけに留めておくけれど(HMVのページ参照)、「Antonio Farao/Encore(05年、別頁あり)」以降はリリカルな傾向が見受けられるファラオなので、「Antonio Farao / Thorn(01年)」「Antonio Farao / Far Out(03年)」以来となるサックス入りの編成でのハードな演奏に期待している。
ファラオ曲が5曲と、トニー・ウィリアムスの「Hand Jive」、ハンコックの「Maiden Voyage」で全7曲。
私の好きなファラオが久しぶりに帰ってきたといった感じで、モーダルな曲調からして実にいい塩梅。当然ながらハンコック的にアウトしながら弾いているけれど、やはりファラオはこうでなくては面白くないんだよね。「Antonio Farao/Encore」以降の作品も決して悪くはなかったけど、ハードな曲調をメインに、アドリブでスピーディーに弾きまくっている本演奏にはより魅力を感じる。共演者のネグリは、これまでのクリス・ポッター、ボブ・バーグと比べると小粒ではあるけれど、ダークな曲調によくマッチしたプレイにはそれなりのオリジナリティが感じられるし、2曲に参加のナンジオも元気いっぱいに吹いていて、なかなかやるなと思わせてくれる。またリズム隊のヤコノフスキーとベッギオもソロの見せ場は多くないものの、60年代のロン・カーターとトニー・ウィリアムスのようなバッチリの相性ぶりで聴かせてくれる。オリジナル曲は「Hand Jive」「Maiden Voyage」と同じ時代の匂いがする曲作りとなっているけれど、それが単なる懐古趣味には終わっていないのもグッドだね。リリカルな要素を廃した、昔からファラオに抱いていたイメージどおりの演奏には非常に好感が持てる。
ということで演奏に大きな不満はないし、録音(エンジニアはCarlo Cantini)も各楽器がリアルながらも聴き疲れしない音で録れているので5つ星にしたいところだが、バンドとしては綺麗に纏まっている感があり、アグレッシブなプレイの応酬とまでは行っていないので、ここは4つ星に抑えておこう。
評価☆☆☆☆ (☆最悪!、☆☆悪い、☆☆☆普通、☆☆☆☆良い、☆☆☆☆☆最高!)
評価☆☆☆☆ (☆最悪!、☆☆悪い、☆☆☆普通、☆☆☆☆良い、☆☆☆☆☆最高!)