Adam Rogers, David Binney / R&B

Adam Rogers(G)
David Binney(As)
Reuben Rogers(B)
Gerald Cleaver(Ds)
Rec. Fabruary 18, 2014, NY
(Criss Cross 1379)

アダム・ロジャースとデヴィッド・ビニーは、ビニーの前作「David Binney / Anacapa(14年、別頁あり)」以外にも、「John Escreet / Sabotage and Celebration(13年、別頁あり)」「Alex Sipiagin / Balance 38-58(15年、別頁あり)」で共演しているけど、本作ではアルバムタイトルまで「R&B」(リズムアンドブルースのことではなく、二人のイニシャルと思われる)となっているので、同格の演奏が楽しめそうだ。他のメンバーのルーベン・ロジャースは説明不要。ジェラルド・クリーヴァーは、本作より3ヶ月前に録音された近作「Charles Lloyd / Wild Man Dance(15年、別頁あり)」でのプレイがなかなか良かった。

パーカーの「Ah-Leu-Cha」、モンクの「Introspection」、ジェローム・カーンの「In Love in Vain」、ショーターの「Africaine」、G.Parksの「Don't Misunderstand」、マイルスの「Sippin' at Bell's」、フレディ・ハバードの「Skydive」、クルト・ワイル/アイラ・ガーシュウィンの「My Ship」、ジミー・マクヒューの「I Feel a Song Coming On」で全9曲。
全曲がジャズメンオリジナルやスタンダードなのが意表を突く。現代的なアレンジを施したわけでもないストレートな4ビート演奏だけど、基本的には尖がり系のビニー、普段はこのような曲を弾いているのをあまり聴いたことがないロジャース(アダム)なので、逆に新鮮に感じるね。二人とも初心に帰ったかのようなオーソドックスなプレイをしているのに、それでいながらありきたりには感じさせないし、速いパッセージであっても無機質さは皆無の歌心で聴かせてくれるのだから嬉しくなってしまう。また二人を引き立てながらの、ルーベンとクリーヴァーの控えめなバッキングにも実にいい塩梅。もちろん速い曲ではガツンといっているし、数曲ではソロも用意されているので、弾き足りない、叩き足りないと感じることはない。簡単な打ち合わせだけでレコーディングしたセッション的な演奏ながらも、これだけ魅了させるのだから、さすがにこのメンバーだけのことはあるね。スタンダード本に載っているような曲は取り上げていない感じだけど、これはアマチュア・ジャズミュージシャンにとってのよいお手本となりそうだ。
ビニーとアダムの普段とは一味違った演奏が楽しめて、本作は想像していた以上に良かった。録音(エンジニアはマイケル・マルシアーノ)もリズム隊が少々奥に引っ込んでいるものの、やっている音楽にはよくマッチしているね。

評価☆☆☆☆ (☆最悪!、☆☆悪い、☆☆☆普通、☆☆☆☆良い、☆☆☆☆☆最高!) 

R&B
Adam Rogers
Criss Cross
2015-06-02