Gary Peacock Trio / Now This

Marc Copland(P)
Gary Peacock(B)
Joey Baron(Ds)
Rec. July 2014, Oslo
(ECM 2428)

キース・ジャレットのスタンダーズ・トリオ(「Keith Jarrett, Peacock, DeJonette/My Foolish Heart(07年、別頁あり)」「keith Jarrett, Gary Peacock, Jack DeJohnette / Somewhere(13年、別頁あり)」等)で耳タコのゲイリー・ピーコックだけど、それ以外では「Marc Copland with G.Peacock & B.Stewart/Modinha(06年)」「Marc Copland/New York Trio Rec. Vol.2:Voices(07年)」「Konitz, Frisell, Peacock, Baron / Enfants Terribles: Live at the Blue Note(12年)」(各別頁あり)ぐらいと、近年は聴く機会がめっきり少なくなってしまったので、久しぶりのリーダー作のリリースがまず嬉しい。マイCDリストで調べてみたら、「Marc Copland / Guamba(87年)」「Gary Peacock, Ralph Towner / Oracle(94年)」、あるいはLPで所有している「Gary Peacock / Tales Of Another(77年)」「Gary Peacock / Voice from the Past-Paradigm(81年)」以来の購入だけど、ピアニストとしてはジャレットに次いでレコーディングする機会が多いマーク・コープランド、上記「Konitz, Frisell, Peacock, Baron / Enfants Terribles: Live at the Blue Note」でも一緒だったジョーイ・バロンとで、はたしてどういうことになっているのか楽しみだ。

ピーコック曲が7曲、コープランド曲が2曲、バロン曲が1曲、スコット・ラファロの「Gloria's Step」で全11曲。
いかにもECMらしい静粛感が漂う演奏ではあるも、思っていたよりは動的。この辺は上記「Marc Copland/New York Trio Rec. Vol.2:Voices」ともよく似ているけれど、全体的にゆったりとした曲調であっても、例えば1曲目「Gaia」なんかではドラムソロまで用意しているので、退屈せずに楽しむことができる。聴きどころは何といってもピーコックで、年齢的な衰えは全く感じられない、研ぎ澄まされた感覚のベースが素晴らしいのだが、彼のソロも含めたプレイに大きくスポットを当てながらの演奏の中、ピタリと寄り添ったピアノを弾いているコープランドも、さすがに共演が多いだけあってバッチリの相性ぶりを見せている。またけっこういろんなことをやっていながらも、決して邪魔には感じさせないバロンのドラミングもバッチリ嵌っていて、3人が一体となりながらの自由度の高い演奏が堪能できる。大半の曲が簡単なモチーフを決めただけのような感じのインプロとなっているけれど、お互いの出方に敏感に反応し合いながらのインタープレイには芸術性すら感じられて実に素晴らしい。8曲目「Christa」(ピーコック曲)や10曲目「Gloria's Step」以外はダークな曲調に統一されているけれど、聴きていて気分が重くならないのもグッドだし、「Gary Peacock / Tales Of Another」に収録されている「Vignette」(9曲目)の再演も嬉しくなってしまう。
久しぶりのピーコックのリーダー作だけど、やっぱり良いね。演奏に加えてオスロのレインボー・スタジオでの録音(エンジニアはヤン・エリック・コングスハウグ)も極上で、最近はNY録音(エンジニアはジェームス・ファーバー)が多いECMなので、逆にこの音が非常に新鮮に聴こえる。コングスハウグ特有の加工臭が希薄となっているのもいい塩梅。バロンの特徴であるバスドラの音は「ドーン」と下に沈み込んでいないけど、近作では「Steve Cardenas / Melody in a Dream(14年、別頁あり)」「Joe Lovano & Dave Douglas / Sound Prints: Live at Monterey Jazz Festival(15年、別頁あり)」もそうだったので、これは本人の意向なのだろう。いずれにしても本作は音の良さだけでも十分に楽しめる。

評価☆☆☆☆☆ (☆最悪!、☆☆悪い、☆☆☆普通、☆☆☆☆良い、☆☆☆☆☆最高!) 

Now This
Gary -Trio- Peacock
Ecm Records
2015-05-26