Terence Blanchard / Breathless

Terence Blanchard(Tp)
Charles Altura(G)
Fabian Almazan(P, Syn)
Donald Ramsey(B, Backgrund-Vo Track4)
Oscar Seaton(Ds)
PJ Morton(Vo)1,6,11
Jrel Oliver(Background-Vo, Spoken Word)6,8
Rec. 2014?, New Orleans
(Blue Note 4726939)

前作「Terence Blanchard / Magnetic(13年、別頁あり)」が最高に良かったテレンス・ブランチャードだけど、本作には前々作「The Terence Blanchard Group/Choices(09年、別頁あり)」と同様にボーカルやしゃべり(Spoken Word)が入っているのが気になるところ。メンバーのファビアン・アルマザンは上記2作品から引き続き。「Chick Corea / The Vigil(13年、別頁あり)」で一躍有名になったチャールズ・アルトゥラは、他にも「Tigran Hamasyan/Red Hail(09年)」「Stanley Clarke/The Stanley Clarke Band(10年)」「Dayna Stephens / I'll Take My Chances(13年)」「Ambrose Akinmusire / The Imagined Savior Is Far Easier to Paint(14年)」(各別頁あり)に参加していたね。ベースのドナルド・ラムゼイはこれが初聴き。またドラムスのオスカー・シートンも知らない名前だが、「Lee Ritenour/Smoke'n' Mirrors(06年)」「George Benson / Guitar Man(11年)」「Lee Ritenour / Rhythm Sessions(12年)」(各別頁あり)に参加しているのが見つかった。

ブランチャード曲が9曲と、 Gene McDanielsの「Compared to What」、T. Olivier Blanchardの「Shutting Down」、ハンク・ウィリアムスの「I Ain't Got Nothin' But Time」、コールドプレイの「Midnight」で全13曲。
昔のソウルやファンク、あるいはフレディ・ハバードがやっていたフュージョンに通じるものがある。私が苦手とするヒップホップ系ではないものの、前作「Terence Blanchard / Magnetic」では真摯にジャズに取り組んでいただけに、この路線変更は少々残念。でもこういうのも嫌いではないし、E-Collectiveバンド(Eはエレクトリックのことかな)のときだけの方向性だと思うので、これでよしとしよう。演奏者の中ではなんといってもエコー系のエフェクターまで駆使しながら派手派手に吹いているブランチャードがカッコいいね。またアルマザンとアルトゥラの、ブランチャードがやりたいことをきちんと理解しながらのプレイも素敵。ボトムをガッチリとキープしながらの重量感のあるエレベを弾いているラムゼイにも好感が持てるし、フュージョン系を得意とするシートン(5曲目「Confident Selflessness」でのスピーディーなドラムソロが聴きもの)の起用も、手数はあまり多くないけど正解だろう。数曲にはソウルフルなヴォーカルやコーラス、Spoken Wordが入っているものの、あくまでもインストがメインとなっているので、思っていたほどは気にならない。でもこの手の演奏はクロスオーバーが流行っていた時代(70年代)から散々聴いてきているので、新鮮味は感じられないけどね。ブランチャードにしてみるとナウい音楽をやっているつもりなのかもしれないけれど、例えば同じトランぺッターであるランディ・ブレッカーなんかは昔からこういうことをやってきているわけなので、もっとオリジナリティのある演奏をしてほしかった。
1曲1曲は決して悪くはないのだが、トータルで78分はいくらなんでも長すぎだろう。比較的ゆったり目の演奏が続いていることもあって、アルバムの中盤からは少々退屈してしまった。録音は各楽器(ヴォーカル含む)の音質、バランスともに良好で、フュージョン系として上質なサウンドが堪能できる。

評価☆☆☆ (☆最悪!、☆☆悪い、☆☆☆普通、☆☆☆☆良い、☆☆☆☆☆最高!) 

Breathless
Terence Blanchard
Blue Note Records
2015-05-26