Laurent Coq, Walter Smith III / The Lafayette Suite

Laurent Coq(P)
Walter Smith III(Ts)
Joe Sanders(Ac-B, El-B)
Damion Reid(Ds)
Rec. September 18-19, 2014, NJ
(Jazz & People OTCD4541)

ローラン・コック(1970年、フランス生まれ)のリーダー作を買うのは「Laurent Coq Trio/Spinnin'(06年、別頁あり)」以来。その間はサイド参加のアルバムも聴いたことがなかったので、どんなピアニストなのか記憶が薄れてしまったのだが、本作はバックのメンバーにそそられるのですぐに飛びついた。本人のサイトを見ると、ジョー・サンダースとダミオン・リードは「Laurent Coq / Eight Fragments of Summer(09年?)」にも揃って参加しているんだね。リードはその他にも過去作品の「Laurent Coq / Like A Tree In The City(03年)」に参加していて、コックとは早くから一緒にやっているようだけど、このメンバーにウォルター・スミスIIIも加わって、はたしてどういうことになっているのか楽しみ。ちなみにサンダースとリードは、「Jure Pukl / Abstract Society(12年、別頁あり)」でも共演している。

コック曲が5曲、スミスIII曲が5曲で全10曲。
二人の曲が交互に演奏されている。どちらが作曲したのか分からないほど統一感が取れているのは、ラファイエット公爵という人をテーマに曲作りがなされているから。組曲仕立てだけあってストーリー性が感じられる展開となっていて、曲中でもビートが変わっていたりもするのだが、似たようなメロディーが現れたり消えたりと、全体的に同じような曲調となっているのと、楽譜に細部まで書き込まれているために、いささか演奏が窮屈になってしまっているのは残念なところ。同じ組曲をやるにしても、曲ごとにもっとメリハリをつけた方が演奏的に面白くなると思うのだが、それでも途中まで4ビートでやっている7曲目「The Battle of Brandywine」なんかはジャズ特有の開放感のある演奏となっているし、リードだけはどの曲でも楽譜に必要以上に囚われない溌剌としたドラミングで、バンドとしての演奏を好ましい方向に持っていっているので(7曲目や10曲目「Yorktown」のドラムソロも聴き応えがあり)、これでよしとしよう。聴きどころはクラシックの要素も感じられるコックの、いい意味で端正なピアノと、それに完全に同調しながら吹いているスミスIIIのテナー。8曲目「Valley Forge」のような速いパーッセージが続くテーマであっても、一糸乱れぬユニゾンで聴かせてくれるのだから、二人ともどれだけ楽譜に強いのかということになる。またサンダースの芯のがっちりとしたベースも、リードのドラミング(コックのピアノフレーズにピタリと一致させながら叩いている場面があるのには驚かさせる)と共に、バンドとしての大きな推進力となっていているね。
同じような曲調の中、緻密な演奏を最後までやっているので、トータルでは49分とそんなに長くはないのに、聴き終わった後にはどっと疲れてしまった。こういう演奏も決して嫌いではないのだが、やはりリラックスできるような部分も用意するなりの緩急は必要だろう。録音はミキシング、マスター共に内藤克彦が担当。温かみのある音色がやっている音楽にマッチしていないような気がするものの、各楽器のバランスは上々だ。
と書き終えたところで、本作はコックとスミスIIIの共同名義となっていることに、CDケースの背ラベルを見て気がついた。

評価☆☆☆☆ (☆最悪!、☆☆悪い、☆☆☆普通、☆☆☆☆良い、☆☆☆☆☆最高!) 

The Lafayette Suite
Laurent Coq
Jazz & People
2015-05-05