Jure Pukl / The Life Sound Pictures of Jure Pukl

Jure Pukl(Ss, Ts)
Adam Rogers(G)
Sam Harris(P)
Joe Sanders(El-B, Ac-B)
Rudy Royston(Ds)
Melissa Aldana(Ts)3
Sachal Vasandani(Vo)7
Rec. September 26, 2014, NYC
(Fresh Sound New Talent FSNT458)

スロヴェニア出身のユーレ・プクルは、Storyvilleからの前作「Jure Pukl / Abstract Society(12年、別頁あり)」を聴いて一発で気に入ったサックス奏者。コルトレーンを基調としながらの現代的な曲調でのプレイが実に魅力的だったのだが、本作もまた前作から引き続きのジョー・サンダースに加えて、新たにアダム・ロジャース、ルディ・ロイストンが参加しているのだからそそられるね。他のメンバーのサム・ハリスは「Ambrose Akinmusire / The Imagined Savior Is Far Easier to Paint(14年、別頁あり)」や、ロイストンの「Rudy Royston / 303(14年、別頁あり)」で聴いたことがある。ゲスト参加のメリッサ・アルダナは、2枚のリーダー作「Melissa Aldana / Free Fall(11年、別頁あり)」「Melissa Aldana / Melissa Aldana & Crash Trio(14年、別頁あり)」が素晴らしかった。サッチャル・バサンダニ(?)は「Gerald Clayton / Life Forum(13年、別頁あり)」に参加しているのが見つかった。

プクル曲が9曲(そのうちの1曲「Quiet Skies Come Back」の歌詞はバサンダニが担当)と、ビリー・ストレイホーンの「Lush Life」で全10曲。
コンテンポラリー・ジャズを絵に描いたような演奏。非4ビートと4ビートがバランスよく配されているのだが、そんな中で1曲目「The Weight of the World」の途中からのように、場面によってはフリーな展開となっているのもいいアクセントとなっているね。プクルは曲によりテナーとソプラノを吹き分けているけれど、どちらをとっても基本的にハードなプレイをしているのが私好みだし、その楽曲もアグレッシブなものがメインとなっていて、ヴォーカル入りでAOR的な7曲目「Quiet Skies Come Back」と続く8曲目「Lush Life」のブクルのソロ演奏以外は、ロイストンがブクルを食ってしまいそうなほどのスピーディーなドラミングで攻めているのだから、ドラム好きとしてはなんともたまらない。近年のロイストンは絶好調と見えて、どのアルバムでもだいたいこんな感じて叩いているけれど、それが決してうるさくは感じさせないのだから素晴らしい。そんなドラミングについつい耳を奪われてしまうのだが、大技小技を駆使しながらのプクルのプレイも非常に聴き応えがあるし(奏法的には恩師であるジョー・ロヴァーノとジョージ・ガゾーンを足して2で割ったような感じ)、アドリブの場面はそんなに多くないもののロジャースとハリスもダークな曲調にバッチリと嵌ったセンスのいいプレイで聴かせてくれるし、曲によってアコベとエレベを使い分けながら的確なビートを送り続けているサンダースも素敵だし(2曲目「October」でのフレーズを口ずさみながらのベースソロも聴きもの)、アルダナがプクルと比較しても聴き劣りしないプレイをしているのもさすがだし、バサンダニのヴォーカルも変な癖がないおかげですんなりと耳に入ってきて、メンバー全員が自分の持ち味をきちんと発揮したプレイで楽しませてくれる。これでガツンとくる曲がもう何曲か入っていれば更によかったと思う。
演奏には概ね満足するし、録音もFSNTにしては立体感のある音で録れていて上々なので(各楽器の音質もバッチリ)、これはオマケして5つ星にしておこう。

評価☆☆☆☆☆ (☆最悪!、☆☆悪い、☆☆☆普通、☆☆☆☆良い、☆☆☆☆☆最高!)