Tim Warfield / Spherical

Tim Warfield(Ts, Ss)
Eddie Henderson(Tp)
Orrin Evans(P)
Ben Wolfe(B)
Clarence Penn(Ds)
Rec. October 30, 2014, NY
(Criss Cross 1375)

前作「Tim Warfield / Eye of the Beholder(13年、別頁あり)」が最高だったティム・ウォーフィールドだけど、本作ではクラレンス・ペン以外のメンバーを一新しているのが興味深い。その中のオリン・エヴァンスとは、エヴァンスのリーダー作「Orrin Evans Ortet / Justin Time(97年)」「Orrin Evans Ortet / Captain Black(98年)」でも共演しているけれど、エディ・ヘンダーソン、ベン・ウルフとは今回が初レコーディングということになるのかな。このメンバーで大好きなセロニアス・モンクの楽曲をどんな感じで演奏しているのか楽しみだ。

ウォーフィールド曲が1曲と、モンクの「Oska T」「Gallop's Gallop」「Off Minor I」「Ugly Beauty」「Coming On The Hudson」「Off Minor II」「'Round Midnight」、トラディショナルの「That Old Man」で全9曲。
モンクを意識して作曲したと思われるオリジナルの1曲目「Blue Hawk」からして、普段からモンクの匂いがプンプンしているエヴァンス効果も相まって、早くもいい感じで楽しませてくれる。3曲目のトラディショナル「That Old Man」なんかも、テーマにモンク調のアレンジを施していて実にいい塩梅だし、「Off Minor」と「'Round Midnight」以外はあまり知られていない楽曲を取り上げているのにも好感が持てる。その演奏はウォーフィールドだけではなく、他のメンバーにも均等にスポットが当たっているけれど、70年代初頭の「Herbie Hancock/Crossings(72年)」「Herbie Hancock/Sextant(73年、別頁あり)」やリーダー作「Eddie Henderson/Realization(73年)」等で、マイルスの真似をして電化トランペットを吹いていたヘンダーソンが、ここでは別人なのではと思うほどのオールマイティーぶりを発揮しているのだから嬉しくなってしまう。近年のヘンダーソンは大体こんな感じではあるけれど、中堅どころに交じっていながらも古臭さを感じさせない、なおかつ味わいのあるプレイで聴かせてくれるのだから大したものだね。そんなヘンダーソンに敬意を表しながらのウォーフィールドのプレイも上々で、普段よりは音数が少なめながらも、いざというときはコルトレーン節丸出しでガツンといっているのが素敵。バンドとしての演奏はどの曲もみんな良いけれど、その中でもフリーな方向性まで打ち出しながらアグレッシブに攻めている「Off Minor I」(5曲目)と「Off Minor II」(8曲目)が大いに気に入った。
本作はモンク集というだけでも高ポイントだし、演奏的にも十分に楽しめるのだが、欲を言えば「Rhythm-A-Ning」「I Mean You」等の、より私好みの曲を取り上げていれば更によかったと思う。録音(エンジニアはマイケル・マルシアーノ)は、ここ何年かのCriss Crossの平均的な音で録れているので、特に不満は感じなかった。

評価☆☆☆☆ (☆最悪!、☆☆悪い、☆☆☆普通、☆☆☆☆良い、☆☆☆☆☆最高!)