Lage Lund / Idlewild

Lage Lund(G)
Ben Street(B)
Bill Stewart(Ds)
Rec. November 6, 2014, NY
(Criss Cross 1376)

ラーゲ・ルンドのベン・ストリート、ビル・スチュワートとの共演盤は、「Lage Lund/Unlikely Stories(10年、別頁あり)」「Lage Lund / Foolhardy(13年、別頁あり)」に次いで、本作で3枚目ということになるのかな。今回は近作諸作品のようなサックスやピアノを加えずに、久しぶりにギタートリオだけでやっているので(トリオ作品としてはドラムレス編成の「Lage Lund, Will Vinson, Orlando le Fleming / OWL Trio(13年、別頁あり)」もあり)、ルンドを始めとした3者の妙技をたっぷりと堪能できそうだ。

ルンド曲が4曲と、ボビー・ハッチャーソンの「Isn't This My Sound Around Me?」、ジョー・チェンバースの「Mirrors」、ケニー・カークランドの「Chance」、コルトレーンの「Straight Street」、スタンダードの「Come Rain or Come Shine」「So in Love」「Just One of Those Things」「Good Morning Heartache」で全12曲。
1曲目「Rumspringa」からビルスチュがドラムソロで炸裂していて実にいい塩梅。バッキングも含めて穏やかな曲調にガツンと活を入れているけれど、もしこれが他の人が叩くようなオーソドックスなドラミングであれば、トリオとしての演奏も平凡なものに終わっていたかもしれないことを考えると、その貢献度は計り知れないものがある。それは2曲目「Intro to Rain」以降も同様。全体的にゆったり目のテンポの曲が多い中、彼がパンチの効いたドラミングをしているおかげで、どの曲も躍動感に満ちた演奏となっている。もちろん聴きどころはどのようなフレーズであっても、いい意味でそつなくこなしているルンドのギターだけど、ドラム好きの私としてはついついビルスチュの方に耳が向いてしまう。スタンダードを絵に描いたような曲調の4曲目「So in Love」なんかも、ルンド以上に手数多く叩いているにもかかわらず、決して耳障りには感じさせないのだからさすがだね。そんなビルスチュや、70年代ジム・ホール的なふんわりとした雰囲気を漂わせながら端正に歌い上げているルンド(曲によってはアコギをオーバーダブしている)と比較すると、ストリートは6曲目「Mirrors」、9曲目「Chance」、10曲目「Good Morning Heartache」等のバラード的な曲でしかあまり存在感は感じられないけれど、それにはベースの音が弱めに録れていることが大きな要因となっている。楽器の音色も柔らかめなので、エンジニアは最近のCriss Crossレコーディングのほとんどを手掛けているマイケル・マルシアーノではあるけれど、できればもっと芯のあるガッチリとした音で録ってほしかった。
ルンドのアルバムとしては久しぶりのトリオ演奏だけど、オリジナル曲と既成曲が混在している楽曲には、浮いている曲が1曲もないし、動と静のバランスも良好で、ギタートリオとしての理想的な演奏を楽しむことができた。これでストリートとビルスチュがソロをとっている場面がもっと多ければ、さらによかったと思う。

評価☆☆☆☆ (☆最悪!、☆☆悪い、☆☆☆普通、☆☆☆☆良い、☆☆☆☆☆最高!)