Matija Dedic / Sentiana

Matija Dedic(P)
Antonio Sanchez(Ds)
Scott Colley(B)
Rec. November 21-22, 2012, NY
Solo Pieces January 2013, Grand Consert Holl, Croatia
(Blue Bamboo Music BBM021)

昨年6月のリリースなので出遅れてしまったけど、スコット・コリーとアントニオ・サンチェスの最強リズム隊との共演盤となれば買わないわけにはいかないだろう。リーダーのマティヤ・デェディッチ(?)はこれが初聴き。本人のサイトによると、1973年クロアチアのザグレブ生まれで、本作以外にも3枚のアルバム(「Matija Dedic, Larry Grenadier, Jeff Ballard / From the beginning(09年)」「Matija Dedic Trio-Kendrick Scott, Vicente Arsher / M.D. in N.Y.C.(11年)」「Matija Dedic - Solo / Ligherian Papsody(15年)」)をリリース。このそうそうたるリズム隊を見るだけでもデディッチはかなりのやり手のような感じがするのだが、特に「M.D. in N.Y.C.」にはメンバー的にそそられるので、本作でのプレイを気に入ったら後追いしてみることにしよう。

デェディッチ曲が10曲と、スタンダードの「Green Dolphin Street」で全11曲。
非4ビートが主体。さすがにこのメンバーだけあって、7/8拍子の1曲目「Sentiana」からカッコいい演奏で聴かせてくれる。デェディッチのピアノはチック・コリアのようなきらびやかさに、エヴァンス的なリリカルさを上手くミックスさせた感じとでもいえば分かりやすいかな。タイプ的にはエンリコ・ピエラヌンツィあたりによく似ている。なので同じリズム隊でやっている「Enrico Pieranunzi / Permutation(12年、別頁あり)」「Enrico Pieranunzi with Scott Colley, Antonio Sanchez / Stories(14年、別頁あり)」とついつい比較してしまうのだが、決して聴き劣りはしないどころか、楽曲が優秀なこともあって、デェディッチの方が素敵に感じたりさえするのだから、どれだけ才能のある人なのかということになる。トリオ演奏の間にソロピアノが挟み込まれたアルバム作りとなっているけれど、ソロ曲であっても非常にワクワクさせてくれて、もうデェディッチのことは一発で気に入ってしまった。そんなデェディッチの、指がコロコロとよく動くピアノを聴いているだけでも十分楽しめるというのに、コリーとサンチェスも期待どおりのプレイをしているのだから、こんなに嬉しいことはない。ドラムスが小さめなのとベースの音が柔らかめに録れているのは残念だけど、かといって不明瞭というわけではないし、この音像バランスや楽器の音色がトリオとしてのエレガントさを醸し出しているので、これでよしとしよう。
本作がここまで良いとなると、やはり「Matija Dedic Trio-Kendrick Scott, Vicente Arsher / M.D. in N.Y.C.」も聴いてみたくなるね。メンバー的にはコリー、サンチェスの方が、デェディッチの音楽性によくマッチしていると思うのだが、こちらではアコピの他にエレピやシンセも使っているようなので、また一味違った演奏が楽しめそうだ。

評価☆☆☆☆ (☆最悪!、☆☆悪い、☆☆☆普通、☆☆☆☆良い、☆☆☆☆☆最高!)