Jeremy Pelt / Tales, Musings and other Reveries

Jeremy Pelt(Tp)
Simona Premazzi(P)
Ben Allison(B)
Billy Drummond(Ds)right channel
Victor Lewis(Ds)left channel
Rec. September 15, 2014, NY
(HighNote HCD7270)

前2作「Jeremy Pelt / Water and Earth(13年、別頁あり)」「Jeremy Pelt / Face Forward, Jeremy(14年、別頁あり)」からメンバーを一新してのジェレミー・ペルトの新作だけど、今回はツインドラムス編成なのが興味深い。この辺はジョー・ロヴァーノやジョシュア・レッドマンからヒントを得たのか、あるいは敬愛していると思われるマイルスの「Bitches Brew」あたりの影響なのかは分からないけど、コンテンポラリーなジャズよりも、どちらかというと純ジャズのイメージの方が強いベテランのビリー・ドラモンドとヴィクター・ルイスとの共演で、はたしてどういうことになっているのか楽しみだね。他のメンバーのシモーナ・プレマッツィ(?)を聴くのは、「Simona Premazzi/Looking For An Exit(07年)」以来。同じく女性ピアニストであるジョアン・ブラッキーンやジェリ・アレンにも通じるような硬派なプレイが印象的だった。ベースのベン・アリソンは「Larry Goldings/Quartet(06年、別頁あり)」「Steve Cardenas/West of Middle(10年、別頁あり)」に参加しているのが見つかった。

ペルト曲が5曲と、クリフォード・ジョーダンの「Glass Bead Games」、ショーターの「Vonetta」、スタンダードの「I Only Miss Her When I Think Of Her」で全8曲。
1曲目「Glass Bead Games」は、ツインドラムスによる混沌としたビートをバックに、ペルトが思いっきりマイルスを意識して吹いている様が、まさしく「Bitches Brew」の世界。それのアコースティック・バージョンといえば分かりやすいだろう。ロック調の演奏にコルトレーン曲のコード進行にもよく似た「Glass Bead Games」が曲調的にバッチリ嵌っているし、後半にはドラモンドとルイスのロング・ドラムソロのバトルもあったりして、早くも買ってよかったという気にさせてくれる。2曲目「Vonetta」は、「Kind of Blue」中の「Blue in Green」あたりを意識したような感じのバラード演奏。こういう曲であってもツインドラムスでやっているのがユニークだね。この曲ではマイルス風に吹いているペルトは当然として、プレマッツィもまたアドリブ一番手として、味わい深いダークなプレイで聴かせてくれる。3曲目「Harlem Thoroughfare」は、「Sketches Of Spain」が元ネタかな。ザクザクとしたリズムの繰り返しが少々くどい気がするけれど、演奏的には各人の個性がよく表れていて(アリソンだけは他の曲でも影が薄いが)、この曲もまたいい感じで楽しめる。4曲目「Everything You Can Imagine is Real」はペルトがミュートを使用しているけど、曲調的にはマイルス臭を感じないのが逆に面白い。エヴァンス的な雰囲気にコルトレーン的なコード進行を加味したバラード風の演奏が心に染入る。5曲目「Ruminations On Eric Garner」は打って変わって、ペルトとツインドラムスだけのハードな演奏。終盤にピアノとベースが加わるまでは完全即興となっていて、お互いに触発されながらのアグレッシブなプレイが素晴らしい。
残りの曲は割愛するけれど、ツインドラムスによってリズムが混沌としているのは1曲目ぐらいで、例えばバラード風の曲で一人がブラシを使っている場合は、もう一人がマレットを使ったりと役割分担がハッキリしているので、演奏的にうるさく感じるようなことは全くないし(私はドラム好きなので、他のアルバムでもそのように感じることは滅多にないが)、既成曲をこのバンド用に消化吸収して、オリジナル曲と同化させているのも素敵。やっていることはマイルスの物まね的な要素が、特にアルバムの前半は強いけど、久しぶりに聴いたプレマッツィが相変わらず硬質なプレイをしていることも相まって、どの曲もワクワクしながら楽しむことができた。録音(エンジニアはジョー・マルシアーノ)も各楽器に変な色付けがなくて、HighNote盤にしては上々だね。

評価☆☆☆☆ (☆最悪!、☆☆悪い、☆☆☆普通、☆☆☆☆良い、☆☆☆☆☆最高!)