Aaron Goldberg / The Now

Aaron Goldberg(P)
Reuben Rogers(B)
Eric Harland(Ds)
Kurt Rosenwinkel(G)10
Rec. Tracks 1,2,3,5,7,8 April 2014, NY and Tracks 4,6,9 January 2009, Switzerland
(Sunnyside SSC1402)

アーロン・ゴールドバーグがルーベン・ロジャース、エリック・ハーランドの超強力リズム隊コンビとレコーディングするのは、「Aaron Goldberg / Turning Point(99年)」「Aaron Goldberg / Unfolding(01年)」「Aaron Goldberg/Worlds(06年、別頁あり)」「Aaron Goldberg/Home(09年、別頁あり)」に次いで、本作が5枚目ということになるのかな。3曲は2009年の録音なので、全部が最新の演奏というわけではないけれど、1曲にはカート・ローゼンウィンケルもゲストとして加わって(「Worlds」にも1曲ゲスト参加していた)、はたしてどういうことになっているのかワクワクする。

ゴールドバーグ曲が4曲と、Chico Buarqueの「Trocando em Miudos」、ハイチのトラディショナルの「Yoyo」、チャーリー・パーカーの「Perhaps」、Cascaso and Novelliの「Triste Baia da Guanabara」、ウォーン・マーシュの「Background Music」、トニーニョ・オルタの「Francisca」で全10曲。
1曲目「Trocando em Miudos」のようなリリカルな曲調のものであっても、ハーランドがエフェクトシンバルを多用しながら有機的なドラミングをしたりして、単にやさしいだけの演奏には終わっていないのでグイグイと引き込まれる。2曲目「Yoyo」のカリプソ調の演奏もリズム大好き人間にとってはたまらないものがあるし、3曲目「The Wind in the Night」のダーク調のバラード曲における、全く一筋縄ではいっていないドラミングも素晴しくて、私としてはハーランドを聴いているだけでも満足してしまう。もちろんトリオとしても聴き応えがたっぷりで、ゴールドバーグのハンコックとコリアを足して2で割ったような感じのキビキビとしたピアノプレイに、ロジャースとハーランドが瞬時に反応している様が目茶苦茶カッコいい。4曲目「E-Land」ではいかにもこのトリオらしい現代的な曲調の中、各人ともシリアスなプレイをしているのが素敵だし(曲名になっていると思われるハーランドはドラムソロでも大炸裂)、お待ちかねの4ビート曲の5曲目「Perhaps」なんかも非常にアグレッシブで、ギターシンセ的な音色で弾いているローゼンウィンケル入りのラスト曲「One Life」も含めて、どの曲をとっても最高にいい感じで楽しむことができる。5曲目以降は4ビートが主体となっているのもグッド。楽曲的にはゴールドバーグとハーランドの8バースが用意されている9曲目「One's a Crowd」が特に気に入った。また時期を変えての2箇所での録音にもかかわらず、楽器の音質や音場感が見事に統一されているのも特筆もの。聴く前はなんで2009年の音源をカップリングさせたのだろうと疑問に思ったけれど、演奏面においても音質面においても全く違和感がないので、そんなことはどうでもよくなった。
久しぶりに聴いたゴールドバーグのレギュラートリオだけど、やっぱりいいね。とはいえこのメンバーだったらもっと凄いこと(ピアノトリオの常識を覆すほどの)ができるはずなので、ここはあえて4つ星に抑えておく。

評価☆☆☆☆ (☆最悪!、☆☆悪い、☆☆☆普通、☆☆☆☆良い、☆☆☆☆☆最高!)