Domenico Sanna(P, Rhodes)
Ameen Saleem(Ac-B)
Dana Hawkins(Ds)
Rec. 2014?, NY
(Via Veneto Jazz VVJ095)
「Jeremy Pelt & WiRED/Shock Value-Live at Smoke(07年)」「Jeremy Pelt/November(08年)」「Jeremy Pelt / Water and Earth(13年)」「Jeremy Pelt / Face Forward, Jeremy(14年)」「Ada Rovatti / Disguise(14年)」(各別頁あり)でのドラミングが素晴らしかったダナ・ホーキンス買い。リーダーのドメニコ・サンナ(1984年、イタリア生まれ)を聴くのはこれが初めてと思っていたけれど、自ブログで検索したら「David Liebman Quartet/ Quintet / Live(11年、別頁あり)」に参加しているのが見つかった。そこでは「サンナのピアノは少々影が薄いような気がしないでもない。バッキングにしてもアドリブにしても、けっこういいことをやっているわりには迫ってくるものが少ないかなって感じだけど、この辺はマッコイのようなパワー感に欠けているのが原因なのかもしれない。それともっとモーダルな部分を前面に打ち出した方がリーブマンのサックスにはよりマッチすると思うけどね。でもこれは普段からそういう音楽をやっていないとできることではないので致し方ないだろう」とあまりいいことは書いていないけど、自分のリーダー作だと気合の入れようが違ってくると思うので、はたしてどんなプレイをしているのかそれなりに楽しみではある。本作は「Domenico Sanna Trio / Too Marvelous For Words(10年)」に次ぐリーダー作。もう一人のメンバーのアミーン・サリームはこれが初聴き。All About Jazzによると1979年アメリカ生まれで、ここ5年ぐらいはロイ・ハーグローブ・クインテットのレギュラー・ベーシストとして活動しているようだ。
サンナ曲が5曲(A. Guastadisegniとの共作1曲を含む)と、ジャッキ・バイアードの「D.D.J.L.」(D.D.L.J.?)、D. Tittarelliの「LM」、スタンダードの「Body and Soul」、G. Telesforoの「A New Joy」で全9曲。
サンナのピアノがパワー感に欠けているように感じられるのはデイヴ・リーブマン盤とも変わらない。ただし曲作りに関してはモーダル臭がプンプンしていていい塩梅。現代的なダークな曲調の中、意識的に音数少なく弾いている理知的なプレイが特徴的なのだが、場面によってはホーキンスの手数が多くて威勢のいいドラミングに負けてしまっているのが気になるところ。それと曲によって用いているエレピの使い方もイマイチ。確かにサウンド上のいいアクセントにはなっているし、より現代性が強調されてもいるけれど、フレージングが中途半端なためか変なモヤモヤ感があるので、できればアコピ一本に絞ってほしかった。といってもアコピの方も抑揚が感じられない平坦なプレイなのに加えて、知的な面が目立ってしまっているので、もっといい意味でバカになって弾く必要がありそうだけどね。本演奏を聴く限りにおいては、リリカル系のプレイを得意としているピアニストが、無理してモーダルな曲調に挑戦しているような印象を受ける。とまたまたいいことは書いていないけど、結局のところサンナは私好みのピアニストではないということなのだろう。曲作りや既成曲のアレンジにはいいものを持っているだけにちょっと残念なのだが、その代わりにホーキンスが最高の仕事ぶりを見せていて、常時活きのいいビートやリズムで聴かせてくれるのはいつものことながら、隠しトラックとなっている10曲目のデュオ曲なんかでは打ち込みを発展させたような感じの最先端のドラミングまで披露しているのだから、それだけでも十分に楽しめる。またサリームの芯のあるガッチリとしたベースもグッド。4ビートと非4ビートがバランスよく配分されている楽曲はどれもが良好なのだが、その中でもホーキンスが思いっきり目立っている1曲目「Evidente」、さり気ない仕掛けが用意されている2曲目「Miracle Fishing」、純粋な4ビート演奏の3曲目「D.D.J.L.」、曲中でビートがコロコロ変わっている5曲目「LM」が特に気に入った。
ということでサンナのピアノには共感できない部分があるものの、トリオとしての演奏はなかなかいい感じで楽しむことができた。これで録音がもっと立体感のある音で録れていればさらによかったと思う。
評価☆☆☆☆ (☆最悪!、☆☆悪い、☆☆☆普通、☆☆☆☆良い、☆☆☆☆☆最高!)
評価☆☆☆☆ (☆最悪!、☆☆悪い、☆☆☆普通、☆☆☆☆良い、☆☆☆☆☆最高!)