Brice Winston / Child's Play

Brice Winston(Ts)
Mike Moreno(G)
David Virelles(P)
Joe Sanders(B)
Marcus Gilmore(Ds)
Rec. January 31, 2014, NY
(Criss Cross 1374)

Roland Guerin/You Don't Have to See It(03年)」「Terence Blanchard/A Tale of God's Will(07年)」「Terence Blanchard / Magnetic(13年)」(各別頁あり)等に参加しているブライス・ウィンストンの、本人のサイトを見ると「Brice Winston / Introducing Brice Winston(10年)」に次ぐ2枚目のリーダー作。ウィンストンは長年テレンス・ブランチャードのバンドで活動しているので、本レコーディングにもそちらのメンバーが何人か参加していると思いきや、ガラリと代えているのが興味深い。でも4日後の録音である「Matt Brewer / Mythology(14年、別頁あり)」にもダヴィ・ビレージェス、マーカス・ギルモアが揃って参加しているということは、特にウィンストンが希望した人選というわけでもないのかもね。同じメンバーで2つのレコーディングというところにCriss Crossのお手軽さが感じられるのだが、かといって単なるセッションで終わっているはずはないので(マット・ブルーワー盤もそうだった)、はたしてどういうことになっているのか楽しみだ。

ウィンストン曲が5曲と、ショーターの「Juju」「Fall」、スタンダードの「I Thought About You」で全8曲。
曲調的なこともあると思うけど、ビレージェス、ギルモアのプレイに関しては、ブルーワー盤よりも本作の方が本当にやりたいことがやれているような感じがする。特にギルモアはジョー・サンダースとの相性がバッチリなこともあって、最高にいい感じのドラミングで楽しませてくれる。またビレージェスの個性もきらりと光っているし、モレノの張り切りぶりも半端ではない。そんなバックの演奏だけでも十分に満足するというのに、主役のウィンストンがまたこんなに上手い人だったのかと思うほどに申し分のないテクニックで、なおかつ情感たっぷりのプレイで魅了させてくれるのだから、なんともたまらない。太くて逞しいテナーの音色も実にいい塩梅。ショーターの曲を2曲取り上げていることからして、おそらく彼のことを敬愛しているのだと思うけど、それだけではなく、速いパッセージにはコルトレーンの流れを汲んでいるマイケル・ブレッカー、ボブ・バーグ、ラルフ・ボウエンあたりの影響も感じられるし、クリス・ポッター的に突拍子もないフレーズを繰り出す場面もわずかながらあったりなんかして、そのあまりのカッコよさには完全にやられてしまった。また4ビートを中心に、非4ビート曲もバランスよく配しながらの楽曲もどれもが優秀。現代的ながらも決して頭でっかちにはなっていない曲作りには非常に好感が持てる。このように覚えやすい曲だからこそ、きっとバックの面々も思いどおりのプレイができたのだろう。オリジナル曲だけではなく、既成曲の「Juju」「Fall」「I Thought About You」も聴き応えがたっぷりだ。
どの曲も私好みのアグレッシブ、あるいは威勢のいい演奏で、本作には何の文句もない。Criss Cross盤なので、録音までが最高というわけにはいかないが、それでも各楽器が過不足なく捉えられているし、音の立体感もちゃんとあるので(エンジニアはマイケル・マルシアーノ)、これはオマケして5つ星にしておこう。

評価☆☆☆☆☆ (☆最悪!、☆☆悪い、☆☆☆普通、☆☆☆☆良い、☆☆☆☆☆最高!)
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  1. 1. Child's Play/Brice Winston

    • [ジャズCDの個人ページBlog]
    • 2014年10月20日 07:49
    • Criss Crossレーベル新譜聴き3日目で一段落。今回の新譜も3者3様で面白