Eric Harland Voyager / Vipassana

Taylor Eigsti(P)except 3
Julian Lage(G)2,5,6,9,11
Nir Felder(G)1,7,8,10,12
Chris Turner(Vo)1,3,7,8,12
Walter Smith III(Ts)
Harish Raghavan(Ac-B, El-B)
Eric Harland(Ds, Background-Vo, Pads, Syn-Storings)
Rec. 2014?, NY
(GSI Records ??)

エリック・ハーランドはアントニオ・サンチェスに次いで大好きなジャズドラマーだし、初リーダー作「Eric Harland / Voyager: Live by Night(10年、別頁あり)」も目茶苦茶良かったので、本作にも期待したいところなのだが、試聴した段階でヴォーカルが入っている曲が、私が望んでいるものとは異なるポップ志向のサウンドだったので、CDを買うのを躊躇した次第。でもほとんどのサイド参加のアルバムを収集しているわけだし、こういう音楽をやるのもハーランドの一面なのだと自分に言い聞かせて購入したけどね。本作のメンバーは「Voyager: Live by Night」と変わらないのだが、ギターには新たにニア・フィルダー(初リーダー作「Nir Felder / Golden Age(14年)」別頁あり」も加わってジュリアン・レイジと曲を弾き分けているのと、バンド的には必要ないと思うけど、ヴォーカリストとしては嫌いなわけではないネオソウル・シンガーのクリス・ターナー(「SF JAZZ Collective / Wonder: The Songs of Stevie Wonder(13年、別頁あり)」「Harvey Mason / Chameleon(14年、別頁あり)」で耳にしている)も加えて音楽の幅を広げている。ちなみに本作でのハーランドは、エンドーサーとなっているSakae Drumsを使用している。

ハーランド曲が7曲、ハリッシュ・ラグハヴァン(?)曲が2曲、ウォルター・スミスIII曲が2曲、ハンコックの「Maiden Voyage」で全12曲。
1曲目「Relax」や3曲目「Passana」のようなヴォーカル曲(コーラスはハーランドが担当)は退屈極まりないのだが、インスト曲に関しては、さすがにこのメンバーだけのことはあるカッコいい演奏で聴かせてくれる。ただしライブ盤の「Voyager: Live by Night」が非常にアグレッシブだっただけに、それと比べると温度感は低めだし、面白みもイマイチ。それでも2曲目「Raghavan」のドラムソロなんかはとんでもなく凄いことになっているけどね。とはいえアドリブ重視の演奏というよりも、どちらかというとトータルサウンドで聴かせるような作りとなっていて、本当に良いと思えるような曲は、2曲目の他に6曲目「Singularis」、9曲目「Anjou」、10曲目「Capacity」ぐらいしかないので、やはりどうしても物足りなく感じてしまう。「Maiden Voyage」(11曲目)にしても、他の曲と同化しているのはいいとして、演奏的にはあまりパッとしないしね。これよりだったら「Voyager: Live by Night」の方が数段良いし、同じようなコンテンポラリーな楽曲であっても「Joshua Redman, Aaron Rarks, Matt Penman, Eric Harland / James Farm(11年、別頁あり)」「Dave Holland / Prism(13年、別頁あり)」等に提供している曲の方により魅力的を感じる。
ということで私の好みに合致するとは言い難いし、一昨日聴いた「Antonio Sanchez / Three Times Three」が最高に素晴らしかったのと、その前日に聴いた「Walter Smith III / Still Casual」(テイラー・アイグステイとラグハヴァンが参加)と比較しても聴き劣りすることもあって、本作は余計につまらなく感じてしまった。といってもハーランドが大好きなことに変わりはないので、次回作に期待している。

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