Stefano Bollani / Joy In Spite Of Everything

Mark Turner(Ts)
Bill Frisell(G)
Stefano Bollani(P)
Jesper Bodilsen(B)
Morten Lund(Ds)
Rec. June 2013, NY
(ECM 2360)

ステファノ・ボラーニの、「Jesper Bodilsen/Mi Ritorni In Mente(04年)」「Stefano Bollani,Jesper Bodilsen,Morten Lund/Gleda(05年、別頁あり)」「Stefano Bollani Trio/Stone In The Water(09年、別頁あり)」に次ぐイエスパー・ボディルセン、モーテン・ルンドとの共演盤。今回はマーク・ターナー、ビル・フリゼールも参加しているけれど、はたしてこのイタリア、デンマーク、アメリカの混合メンバーでどういうことになっているのか楽しみ。ちなみにボラーニは「Enrico Rava/New York Days(09年、別頁あり)」でもターナーと共演しているけど、ビルフリとはこれが初めてかもしれない。

全9曲がボラーニのオリジナル。
以前にも何かで聴いたような既視感がある「Easy Healing」からスタート。カリプソ調の軽快なリズムに乗っかりながらの、腹6分目ぐらいの余裕を持った各人のプレイが曲調にもよくマッチしていていい感じだね。同じECMからの「Stefano Bollani Trio/Stone In The Water」では、4曲目まで穏やかすぎる演奏が続いていただけに、早くも買ってよかったという気にさせてくれる。2曲目「No Pope No Party」は、どこととなくモンク的な曲調を連想させる4ビート曲。いよいよエンジン全開といった感じでメンバー全員がホットな演奏を繰り広げているのが(ベースとドラムソロもあり)、クールなイメージのECMのサウンドカラーに反していて好感がもてる。同じくターナー入りの「Billy Hart / All Our Reasons(12年、別頁あり)」なんかは、逆に思いっきりECMカラーに染まっていたけれど、結局この辺のところはリーダーの考え方次第なのだろう。ボラーニとしては、「Stone In The Water」での反省を踏まえながら本レコーディングに臨んだような印象を受ける。3曲目「Alobar e Kudra」はトリオだけでの演奏だけど、この曲もまた曲調的には哀愁が感じられるものの、演奏はかなりアグレッシブで、ドラムソロまで用意されているのだから、これまたいい感じで楽しめる。4曲目「Las Hortensias」のバラード曲にしてようやくECMらしい演奏が登場するけれど、このような曲調でアルバムを統一していないのであれば、逆にこういうのは大歓迎。以降の曲も、穏やかな曲とハードぎみの曲を絶妙のバランスで聴かせてくれるのだが、演奏面においてはフリゼールが一人浮いてしまうことなく、バンドにすっかり溶け込んでいるのが素敵だね。比較的オーソドックスな音色(トーン)でしか弾いていないこともあって、彼のファンにしてみるとこの程度のプレイでは全然物足りないかもしれないけれど、これ以上のことをやってしまってはバンドとしての調和が取れなくなってしまう危険性があるので、やはりこれぐらいでちょうどいいだろう。またボディルセンとルンドの、けっこうガツンといっていながらも、でしゃばり感はまったくないプレイにも感心する。アルバムを通しての聴きどころはなんといってもボラーニだけど、ピアノトリオだけのときとは異なって、どの曲もいい意味で余裕をもって弾いているあたりにはこれまで以上の上手さを感じるね。また楽曲も変にいじくり回していないおかげで、すんなりと耳に入ってくる。
ということで本作は楽曲良し、演奏良し。トータル約76分の長丁場を、全くダレることなく楽しむことができた。それに加えてECM的なリバーブ成分をほとんど加味していない録音(エンジニアはジェームス・ファーバー)も大いに気に入った。

評価☆☆☆☆ (☆最悪!、☆☆悪い、☆☆☆普通、☆☆☆☆良い、☆☆☆☆☆最高!)