Sean Jones Quartet / Im・pro・vise: Never Before Seen

Sean Jones(Tp)
Orrin Evans(P)
Luques Curtis(B)
Obed Calvaire(Ds)
Rec. 2014?, NY
(Mack Avenue MAC1080)

前作「Sean Jones / No Need for Words(11年、別頁あり)」と同様のレギュラー・メンバーによるレコーディングだけど、今回はサックスが抜けたワンホーン・カルテットとなっているのがミソ。ショーン・ジョーンズのカルテットものはこれが初だと思うけど、クリスチャン・マクブライドがプロデュース絡みの元、はたしてどれだけ吹けているのか楽しみだね。メンバーのオリン・エヴァンス、オベド・カルヴェールは説明不要。ルケス・カーティスは知名度はそんなに高くはないものの、デビュー盤だったと思われる「Gary Burton/Next Generation(05年、別頁あり)」はさておき、それ以降の「Christian Scott/Rewind That(06年)」「Orrin Evans/Faith in Action(10年)」「Brian Lynch and Spheres of Influence / Con Clave vol.2(11年)」「Orrin Evans / Captain Black Big Band(11年)」「Francisco Mela & Cuban Safari / Tree of Life(11年)」「Orrin Evans / "...It Was Beauty"(13年)」「Bill O'Connell + The Latin Jazz All-Stars / Zocalo(13年)」「Ralph Peterson / The Duality Perspective(13年)」(各別頁あり)や、上記「Sean Jones / No Need for Words」を聴くと、その成長ぶりがよく分かる。

ジョーンズ曲が曲、オリン・エヴァンス曲が1曲、スタンダードの「How High The Moon」、映画Sweeney Toddの挿入歌「Not While I'm Around」で全11曲。
1曲目「60th & Broadway」のイントロ部分からして、トランペットとドラムスのみのデュオ演奏だったりして実にいい塩梅。楽曲も私好みのモーダルな匂いがするやつなのでさらにいい感じなのだが、こうして聴いてみると「Wynton Marsalis Quartet / Live at Blues Alley(08年)」あたりまでのウィントン・マルサリスと曲作りもトランペットの奏法もよく似ているということは、やはり彼からの影響が大きいのだろう。現在のウィントンは変にジャズ回帰してしまって、もうこういう演奏(特にモーダル系の)はしなくなっているので、代わりにやってくれているジョーンズにはとても好感が持てる。2曲目「Dark Times」にしても非常にゆったりとしたモーダル感を醸し出しながら、クールながらもエモーショナルなプレイが目茶苦茶カッコいいね。それにはバックの3人の好演も大いに関係していて、エヴァンスはヘタすると自分のリーダー作よりもいいのではと思うほどに、ハンコック的な鋭い感性のバッキングとアドリブで聴かせてくれるし、わき役に徹しているカーティスの的確なベースプレイも素敵だし、場面に応じダイナミクスをつけながらの存在感がたっぷりのカルヴェールのドラミングも見事としかいいようがない。同一メンバーでのレコーディングはこれが初めてではないので、当然ながら息もバッチリ合っていて、トランペットのワンホーン・カルテットとしての理想的な演奏が堪能できる。モーダルな曲調のものばかりではなく、4曲目「Interior Motive」のような綺麗なバラードの小品や、5曲目「I Don't Give A Damn Blues」のような陽気なブルース曲等もちゃんと用意しているので、楽曲的にも非常にバランスよく楽しむことができるし、あえて現代性を意識せずにきちんと4ビートで勝負しているのもまたグッドで、もうこの演奏には何の文句もつけようがない。これを聴けばきっとボス的存在のウィントンも悔しがるのではと思うほどに素晴らしい出来栄えだね。個人的にはこれでドラムソロが入っている曲が、9曲目「New Journey」以外にももう何曲かあればさらによかったと思う。
ということで本作は想像していたものよりもはるかに良かった。各楽器が鮮明に捉えられていながらも、耳障りな刺激音は一切ない録音も優秀で(エンジニアはTodd Whitelock)、この音の良さだけでも十分に楽しめるので、これはオマケして5つ星にしておこう。

評価☆☆☆☆☆ (☆最悪!、☆☆悪い、☆☆☆普通、☆☆☆☆良い、☆☆☆☆☆最高!)