Fred Hersch Trio / Floating

Fred Hersch(P)
John Hebert(B)
Eric McPherson(Ds, Per)
Rec. 2013?, NY
(Palmetto Records PM2171)

フレッド・ハーシュを聴くのは「Fred Hersch Trio / Live At The Village Vanguard(03年)」や「The Manhattan Transfer/The Chick Corea Songbook(09年、別頁あり)」(2曲に参加)以来。全く思い入れがないピアニストなのだが、奇跡のカムバックを果たした後も巷での評判はすこぶるよいので、最近のプレイはどんな感じなのかなと思って買ってみた。メンバーのジョン・エイベア、エリック・マクファーソンが復帰作だった「Fred Hersch Trio / Whirl(10年)」や「Fred Hersch Trio / Alive At The Vanguard(12年)」にも参加しているということは、これが現在のレギュラーメンバーなのだろう。エイベアは知らないベーシストだけど、自ブログで検索したら「Pete McCann/Most Folks(07年、別頁あり)」「Noah Preminger / Before the Rain(11年、別頁あり)」や、上記「The Chick Corea Songbook」にも1曲だけ参加しているのが見つかった。

ハーシュ曲が7曲と、モンクの「Let's Cool One」、スタンダードの「You and The Night and The Music」「If Ever I Would Leave You」で全10曲。
ハーシュはエヴァンス派だけあって、1曲目で愛奏曲「You and The Night and The Music」をやっているけど、ラテンタッチな演奏においての右手と左手の別フレーズの同時進行がなかなかユニーク。また続く2曲目「Floating」での、もろエヴァンス風なプレイも、一音一音に深みがあって実にいい塩梅。3曲目「West Virginia Rose」も同じような感じのソロピアノなので、残りの曲も全部こういう感じだと退屈してしまうかもと思っているところに、4曲目「Home Fries」ではセカンドライン基調の明るめの曲をやっていて、一本調子にならないような工夫をきちんと施しているのにも感心する。おかげでどの曲もそれなりにいい感じで楽しむことができるのだが、基本的にハーシュのワンマンな演奏となっているので、できればエイベアとマクファーソンの見せ場ももっと増やしてほしかった。トリオとしての纏まりは非常にいいけれど、落ち着いた曲調が多いことが関係してか、エヴァンス・トリオのようなインタープレイが感じられないのもイマイチな点。でも1曲目以外にも、速めのテンポの6曲目「Arcata」や10曲目「Let's Cool One」なんかでは、かなり自分好みの演奏で聴かせてくれるので、これでよしとしよう。
久しぶりに聴いたハーシュだけど、やっぱりいいピアニストだね。私が大好きなモーダルかつアグレッシブなピアニストというわけではないので、ハーシュのアルバムはリリースされる度に買おうとまでは思わないけれど、こういう演奏も無性に聴きたくなることがあるので、そのときはまた買ってみようと思う。本作は演奏もさることながら、上品な演奏によくマッチしている録音(エンジニアはジェームス・ファーバー)が大いに気に入った。

評価☆☆☆☆ (☆最悪!、☆☆悪い、☆☆☆普通、☆☆☆☆良い、☆☆☆☆☆最高!)