Opus 5 / Progression

Alex Sipiagin(Tp, Flh)
Seamus Blake(Ts)
David Kikoski(P, El-P)
Boris Kozlov(B)
Donald Edwards(Ds)
Rec. September 4, 2013, NY
(Criss Cross 1369)

現代の2管クインテットで一番好きなのがこのOpus 5。1枚目「Opus 5 / Introducing Opus 5(11年、別頁あり)」はバンドとしての方向性が定まっていないように感じられたけど、2枚目「Opus 5 / Pentasonic(12年、別頁あり)」ではメンバー各人が伸び伸びとプレイしている演奏が目茶苦茶カッコよかったので、その年のベストアルバムのジャズ部門4位に選定している。なので本作を聴くのも相当楽しみなのだが、今年に入ってから同じCriss Crossからリーダー作「Donald Edwards / Evolution Of An Influenced Mind(14年、別頁あり)」がリリースされたドナルド・エドワーズが楽曲を一番多く提供しているので、ますます私好みの演奏になっているは間違いないだろう。

エドワーズ曲が3曲、コズロフ曲が2曲、シピアギンとブレイク曲が各1曲で全7曲。
エドワーズ曲の1曲目「Snow Child」は、伝統的なものを重視しながらのハードバップ路線ではあるも、いかにもドラマーらしい仕掛けが施されていて実にいい塩梅。各人とも快調に飛ばしていて、早くも掴みはオーケーといった感じだね。そんな中でキコスキがアコピ(右手)とエレピ(左手)の同時弾きしているのがいいアクセントとなっている。シーマス・ブレイク曲の2曲目「Dear of Rooming」は6/8拍子。軽快な演奏ではあるも、次第に熱を帯びてくるのがいかにもこのメンバーらしい。おそらく根底には、このビートを得意としていたコルトレーン・カルテットの精神が脈々と流れているのだろう。アレックス・シピアギン曲の3曲目「Climbing」はエレピ使用(アドリブではアコピも使っている)の曲。現代ジャズを絵に描いたような、シピアギンならではの曲調となっているのが、前2曲とはまた一味雰囲気が異なっていてグッドだね。このようにどんな方向にも転ずることができるのがOpus 5の大きな特徴。それでいながらバンドとしてのサウンドはきちんと統一されているのだから、見事としかいいようがない。ボリス・コズロフ曲の4曲目「Walk a Waltz」はちょっとしたベースソロからスタート。8ビート調の曲ではあるも、7/8拍子がミソとなっている。この曲ではキコスキがアドリブの一番手で大活躍(エレピとピアノの同時弾き)しているけれど、例によっての少々アウトしながらのフレージングが滅茶苦茶かっこいいし、続くビートを倍テンの4ビートにチェンジさせながらのシピアギンのアドリブも、半テンに落としながらのブレイクのアドリブも聴きどころが満載(最後の方にはドラムソロもあり)で、これまノリノリで楽しませてくれる。エドワーズ曲の5曲目「Geraldine」は8ビート系の3/4拍子。バラード的な位置づけの比較的穏やかな曲調ではあるも、この曲も単に大人しいだけでは終わっていなくて、盛り上がりの部分もちゃんと用意した演奏となっているのが理想的。コズロフ曲の6曲目「Inner Balance」は、ブルージーさとリリカルさが入り混じったキコスキのアコピ・ソロからスタートするバラード曲。しっとりと落ち着いた正統的なバラード演奏だけど、各人とも雰囲気たっぷりと歌い上げていて、この曲もまた実にいいね。エドワーズ曲の7曲目「For Instance,Take This」はアップテンポの4ビート。各人とも気合が入りまくりのイケイケな演奏でラストを飾っている。
ということで2枚目「Opus 5 / Pentasonic」と比較しても甲乙つけがたい演奏には大満足。マイケル・マルシアーノが担当している録音は、ベースが少々弱めなのが残念なのだが、それを差し引いたとしても5つ星に十分値するね。60年代までのジャズは大好きだけど現代ジャズはどうも苦手という方であっても、本作は終始いい感じで楽しめるのではと思う。

評価☆☆☆☆☆ (☆最悪!、☆☆悪い、☆☆☆普通、☆☆☆☆良い、☆☆☆☆☆最高!)