Andre Ceccarelli / Twelve Years Ago

Andre Ceccarelli(Ds)
Thomas Bramerie(B)
Eric Legnini(P, El-P)
Alex Ligertwood(Chant)
Nicolas Folmer(Tp)
Stephane Guillaume(Sax, Fl)
Denis Leloup(Tb)
Special Guests: Stefano di Battista(As)6, Sylvain Luc(G)9, Minino Garay(Per)2, Stephane Chausse(Cl)3,4, Frederic Coudert(Fl)3,4
Rec. October 2011, Paris
(Bonsai Music BON131001)

アンドレ・チェカレリのリーダー作は、つい先日聴いたばかりの「Andre Ceccarelli, Jean-Michel Pilc, Thomas Bramerie / Twenty(14年、別頁あり)」が素晴らしかったけど、本作はそれよりも2年程前の録音。チェカレリ、エリック・レニー二、トーマス・ブラメリー、ニコラス・フォルマー、ステファン・ギヨーム、デニス・レループ、アレックス・リガートウッドのピアノトリオ+3管+ヴォーカルを核として、曲によってはステファノ・ディ・バティスタ、シルヴィアン・リュック等もゲスト参加している、フランスのオールスターズ的なメンバーによるレコーディングなのだから、こちらの方もいったいどういうことになっているのかワクワクするね。アルバムタイトルの「Twelve Years Ago」になにか深い意味がありそうなのだが、その辺のところは検索しても分からないので割愛する。

チェカレリ曲が1曲、リガートウッドとの共作が1曲、リガートウッド、レニーニ、ブラメリー、リュックとの共作が1曲、レニーニ曲が2曲、リガートウッド曲(他の人との共作となっている)が3曲、フォルマー曲が1曲で全9曲。
1曲目「Magic Boltro」はいかにも3管編成らしいハードバピッシュな演奏が繰り広げられている。こういうのはチェカレリのリーダー作として過去に聴いたことがあったかどうか記憶は定かで無いけれど、少々古めかしさが感じられるオーソドックスな演奏においてのチェカレリというのもなかなか乙なもの。ただし2曲目「Spirit」以降は本作の陰の主役と思われるリガートウッドのボーカルが大々的にフィーチャーされているので(休んでいる曲もあるけれど)、カッコいいドラミングに期待していると肩透かしを食らってしまう。その代わりにリガートウッドのソウルフルでハートフルなヴォーカル(曲によってはオーバーダブでコーラスまでつけている)や、場面によってはフルートも加わりながらのホーン・アレンジの妙はたっぷりと堪能できるし、当然ながらメンバー各人の出番もそれなりに用意されていて、7曲目「This Side Up」ではチェカレリも大活躍しているわけなので、これでよしとしよう。5曲目「Thome Sweat Soul」のジャズ・ロック風な8ビート曲なんかも60年代の雰囲気がよく出ていていい感じだし、8曲目「Louisiana Colors」でのモーダルな匂いがする演奏、9曲目「Dangerous Mood」におけるリュックの思いっきりブルージーなギター等、ヴォーカルがメインとなっていながらも、バンドとしての聴きどころはいっぱいある。
ということでチェカレリのドラミングを堪能するには物足りない部分があるにしても、基本的にはヴォーカルものを好んでは聴かないとはいえ、リガートウッドの声質が非常にしっくりくるのと、このメンバーならではの素敵な演奏が相まって、終始いい感じで楽しむことができた。あえてくすんだような音色で録られている録音もまた、この演奏にはよくマッチしている。

評価☆☆☆☆ (☆最悪!、☆☆悪い、☆☆☆普通、☆☆☆☆良い、☆☆☆☆☆最高!)