Mark Egan / About Now

Mark Egan(B)
Mitchel Forman(Key)
Danny Gottlieb(Ds)
Rec. 2013?, CT
(Wavetone Records WT8650)

第一期パット・メセニー・グループ~エレメンツのメンバーだったマーク・イーガン、ダニー・ゴットリーブと、二人と共演する機会が何かと多いミッチェル・フォアマンとのトリオだけでのレコーディングは、これが初ということになるのかな。気心の知れた仲間同士なので、それなりにいい感じの演奏が繰り広げられていると思うのだが、イーガンのトリオ作品としてはメンバーをガラリと代えた前作「Mark Egan, Karl Latham, John Hart / Unit 1(13年、別頁あり)」がなかなか良かったので(スタンダードやジャズマン・オリジナルをやっているのも逆に新鮮だった)、本作は亡くなったイーガンの母親に捧げられているとはいえ、過度に懐かさが感じられるような演奏にはなっていないことを願っている。

全9曲がイーガンのオリジナル。
非4ビートが中心。サウンドのイメージはもろエレメンツで、「ああ、やっぱりなぁ」といった感じだけど、これぐらいは許容範囲内なので気にはならない。イーガンの個性がよく活かされた比較的穏やかな演奏の中での、決して軟弱ではない、場面によってはアグレッシブささえ感じられるフォアマンのプレイが実にいい感じ。アコピや各種キーボードを総動員させながらの、これぞ本物のプロの仕事といった感じの完璧なバッキングやアドリブで楽しませてくれる。またそれ以上によく目立っているのがイーガンなのだが、いかにもフレットレスらしい、歌心たっぷりのプレイが相変わらず素敵だね。ソロにも不安定要素は皆無で、終始その上手さにうっとりさせてくれる。また長年一緒にやっているゴットリーブも相性バッチリで、本レコーディングではドラムセットをラディックからDWに替えているので、音質がこれまでとは少々異なるものの、イーガンの音楽性によくマッチしたドラミングで聴かせてくれる。イーガンのベースをメインとしながら、3人でこれだけ素晴らしい演奏をしているのだから、アップテンポの曲がないとかの少々の不満も、聴いているうちに消え失せてしまった。これで最もハードなラスト曲「Puerito Plata」が、あっけなくフェードアウトで終わっていなければさらによかったと思う。
イーガンとゴットリーブの過去の演奏の焼き増しではあるけれど、PMG時代からリアルタイムで聴いてきた私にとっては、こういう懐かしさが感じられる演奏というのもやっぱり必要だし、そんな中においてのフォアマンのプレイも非常に魅力的で、音楽の進歩性は感じられないものの、上々のフュージョン演奏を楽しむことができた。各楽器が過不足なく良い音で録れている録音もグッドだね。

評価☆☆☆☆ (☆最悪!、☆☆悪い、☆☆☆普通、☆☆☆☆良い、☆☆☆☆☆最高!)