Jason Palmer / Places

Jason Palmer(Tp)
Godwin Louis(As)
Mark Turner(Ts)
Mike Moreno(G)
Edward Perez(B)
Kendrick Scott(Ds)
Rec. January 2013, NY?
(SteepleChase SCCD31780)

前作「Jason Palmer / Here Today(11年、別頁あり)」以外では、「Billy Hart / Sixty-Eight(11年、別頁あり)」「Ulysses Owens Jr. / Onward & Upward(14年、別頁あり)」ぐらいでしか聴いたことがないジェイソン・パーマーだが、本作には「Here Today」と同様、マーク・ターナー、エドワード・ペレス、ケンドリック・スコットが参加していて、さらにギターがニア・フィルダーからマイク・モレノに代わっているのだからすぐに飛びついた。もう一人のメンバーのゴッドウィン・ルイス(?)はこれが初聴き。と思っていたけれど、本人のサイトのディスコグラフィーによると、「Terri Lyne Carrington/More to Say...(09年、別頁あり)」に参加しているようだ。

全9曲がパーマーのオリジナル。
3管編成ではあるもハードパップ的な要素は希薄。非4ビートを主体としたコンテンポラリーな演奏が繰り広げられている。パーマーのプレイにトランペット特有の派手さが感じられないのは前作とも同様だけど、曲によってはカデンツァのよるソロやドラムスとのバトルをやってみたりして、それなりに積極性のあるプレイをしているのに好感が持てる。ただしトランペットの音に関しては、いくぶん弱々しさが感じられなくもないけどね。フレーズ的にはけっこうアグレッシブに吹いている場面もあるので、これでたくましいパワーを兼ね備えていれば、ハッタリが効いてなおよかったのではと思う。それはルイスのアルトにもいえること。頑張って吹いているわりには若干の線の細さが感じられるし、ターナーもそもそもが気張って吹く人ではないので、全体的なアンサンブルにおいても個々のアドリブにおいても、いまいちガツンとしたものが感じられないのが気になる。モレノのギターも、今に始まったことではないけれどフワッと系のソフトな音色で弾いているしね。その辺のところを力感たっぷりのペレスのベースと、パワーとスピード感が漲っているスコットのドラミングが上手くカバーしているので、バンドとしてはそれなりにいい感じで楽しめるとはいえ、できればフロント陣もガンガンいって欲しかった。それとラテン的なリズムをさり気なく取り込んでいる楽曲(変拍子もあり)も、なかなか聴き応えがあるにしても、曲調自体はどれもが似通っているので、作曲面においても一工夫が必要かもしれない。1曲1曲は決して嫌いではないが、中盤辺りからは次の曲がスタートする度に「またこんな感じの曲か」という気分になってしまった。
と全面的には共感できないのだが、基本的にこの手の演奏は好きだし、スコットの活きのいいドラミングも存分に堪能できるわけなので、これでよしとしよう。ここ20年ぐらいはずっと同じ音でやってきているSteepleChaseに録音のことをいっても無意味だけど、これで各楽器が最低でもCriss Crossぐらいの音で録れていれば、さらにノリノリで楽しめたと思う。

評価☆☆☆☆ (☆最悪!、☆☆悪い、☆☆☆普通、☆☆☆☆良い、☆☆☆☆☆最高!)