Brian Blade & The Fellowship Band / Landmarks

Brian Blade(Ds)
Melvin Butler(Ss, Ts)
Jon Cowherd(P, Mellotron, Pump-Or)
Chris Thomas(B)
Myron Walden(As, B-Cl)
Jeff Parker(G)7,9
Marvin Sewell(G)3,4,6,8,10
Rec. February 1-4, 2012, Louisiana(2,3,4,5,6,8,10), November 7-9, 2010, Oregon(7,9)
(Blue Note 3770259)

ブライアン・ブレイド&ザ・フェローシップ・バンドの、「Brian Blade&The Fellowship Band/Season of Changes(08年、別頁あり)」以来の新譜だけど、録音は2010年11月が2曲、2012年2月が7曲と、そんなに新しいわけでもないんだね。その間にミックス(音決め)によほど手間暇かけたのか、あるいは逆に放ったらかしにされていたのか、リリースのタイミングを見計っていたのか定かではないが、なにはともあれフェローシップ・バンドの最新の演奏を聴けるのは嬉しい。メンバーからカート・ローゼンウィンケルが抜けてしまったのは残念だけど(その代わりに新たに「Cassandra Wilson/Loverly(08年)」「Lonnie Plaxico Group/Ancestral Devotion(09年)」「Cassandra Wilson / Silver Pony(10年)」(各別頁あり)に参加していたマーヴィン・スウェルと、これが初聴きのジェフ・パーカーが加入)、それ以外は代わりなしの精鋭ぞろいのメンバーで、はたしてどういう演奏が繰り広げられているのかワクワクする。

ブレイド曲が7曲(かな?)と、スウェルとの共作が1曲、ジョン・カワード曲が2曲で全10曲。
これまでと変わらないトータルサウンドを重視した演奏。アルバムを通してインディアン的なものを連想させる、ストーリー性が感じられる展開となっているのもまた同様だね。当然ながらブレイドの、ウェイン・ショーター・カルテットのときのような気合が入りまくりのドラミングには期待できないのだが、フェローシップ・バンドもこれで4枚目で、ドラムを聴かせるためのバンドではないことは既に分かっていることだし、ガツンとくるべきときにはそれなりにきているので、これでよしとしておこう。他のメンバーも一般的なジャズのような長いアドリブはとっていないので(6曲目「He Died Fighting」でのマイロン・ウォルデン、8曲目「Farewell Bluebird」でのカワード、スウェル、メルヴィン・バトラーのアドリブはけっこう長いけど)、バンドとしてのアンサンブルや楽曲自体が重要となってくるのだが、ダークさを基調としながら、曲によってはカントリー的な明るい要素もあったりして、一本調子にならないような配慮をきちんと施しているのがいい塩梅。ただしテンポ的にはどの曲もゆったりとしているので(16ビート系の曲も続いている)、次第に退屈してくるけどね。できればガンガン迫ってくるような速めのテンポの曲も何曲か用意して、演奏に活を入れて欲しかった。そういうテンポ的な不満を除いては、それなりにいい感じで楽しむことができるとしても、きっとライブではこの程度では終わっていないと思うので、聴き終わった後には変なモヤモヤ感が残ってしまう。
フェローシップ・バンドのよさは、3枚目「Season of Changes」にしてようやく分かったつもりでいたけれど、本作を聴いてもやっぱり物足りなく感じてしまうのが正直なところ。なにせブレイドは、サイド参加のアルバムではもっと神懸かりなプレイをしているからね。次回作が何年後になるのかは分からないけれど、そのときは彼のドラミングを充分に活かせるような曲も取り上げてくれることに期待している。

評価☆☆☆ (☆最悪!、☆☆悪い、☆☆☆普通、☆☆☆☆良い、☆☆☆☆☆最高!)