Ambrose Akinmusire / The Imagined Savior Is Far Easier to Paint

Ambrose Akinmusire(Tp, Per, Juno Keyboard)
Walter Smith III(Ts)
Sam Harris(P, Bellowtron)
Charles Altura(G)
Harish Raghavan(B)
Justin Brown(Ds)
Becca Stevens(Vo)3
Theo Bleckmann(Vo, Effects)7
Cold Specks(Vo)9
Elena Pinderhughes(Fl)6,12
Maria Im(Vln)3, 6, 12, Brooke Quiggins Saulnier(Vln)3, 6, 12, Kallie Ciechomski(Viola)3, 6,12, Maris Jeffers(Cello)3,6,12
Rec. 2013?, NY
(Blue Note 3763573)

前作「Ambrose Akinmusire / When the Heart Emerges Glistening(11年、別頁あり)」がなかなか良かったアンブローズ・アーキンムシーレイだが、本作ではピアニストがジェラルド・クレイトンから、「Rudy Royston / 303(14年、別頁あり)」で初めて聴いたサム・ハリスに代わっているのと、チック・コリアの「Chick Corea / The Vigil(13年、別頁あり)」で一躍有名になったチャールズ・アルトゥラ(「Tigran Hamasyan/Red Hail(09年、別頁あり)」「Stanley Clarke/The Stanley Clarke Band(10年、別頁あり)」「Dayna Stephens / I'll Take My Chances(13年、別頁あり)」でも耳にしている)も、ギタリストとして参加しているのが興味深い。他にも曲によってはヴォーカルのベッカ・スティーヴンス、テオ・ブレックマン、コールド・スペックス、さらにはフルート奏者やストリングスも加わっているけれど、はたしてこの編成でどういうことになっているのか楽しみだ。

アーキンムシーレイ曲が12曲、スティーヴンス曲が1曲で全13曲。
「Ambrose Akinmusire / When the Heart Emerges Glistening」はアーキンムシーレイのソロ・スタートだったけど、本作の1曲目「Marie Christie」もピアノのバッキングだけをバックに豪快に吹きまくっていて、彼のプレイに対する自信のほどが窺える。これで掴みはオーケーといった感じなのだが、2曲目「As We Fight」からのバンド演奏も、非4ビートが主体ながらも売れ線狙いといったわけではなく、比較的ダークな曲調の中、アドリブ重視のジャズ演奏で勝負をかけているのに好感が持てる。それは3曲目「Our Basement」のようにヴォーカルやストリングスが加わっている曲も同様で、一般的にイメージしているのとはまた一味違った、幻想的な演奏をしているのが素敵だね。全体的にストーリー性が感じられる曲配列となっているのだが、テンポ的にはゆったり目の曲が多いような気がするものの、曲調はそれぞれ異なっていて、穏やかなのもあればアグレッシブな曲もあったりするので、一本調子に感じるようなことは全くない。聴きどころは何といっても、アーキンムシーレイの教科書的なものは感じさせないフィーリング感たっぷりのトランペットなのだが、ウォルター・スミスIIIもそれなりにいい仕事をしているし、新加入のハリスとアルトゥラの新鮮なプレイもなかなかの聴きもの。特にアルトゥラはThe Vigil等とはまたアプローチを変えて、完全にジャズ・ギタリストと化しているのだから(マイク・モレノあたりを連想する)、持っている引き出しがどれだけ多いのかということになる。またハリシュ・ラガワン(?)とジャスティン・ブラウンも、ビートの効いた曲では当然ながらガツンといっているので、特にプレイし足りないと感じることはないだろう。それに加えて3人いるヴォーカリストも、それぞれの持ち味で楽しませてくれる。
私好みのハードな曲調は、部分的にフリーにまで発展しているラスト曲「Richard」(この曲のみライブ収録)の他はごく僅かながらも、本演奏で醸し出される独自な音世界に浸っていたら、トータル78分の長丁場があっという間に終わってしまった。それだけヴォーカルやフルート、ストリングスも含めたバンドとしての演奏が魅力的ということになるのだが、各楽器に誇張感のない、ごく自然な音質の録音とも相まって、終始いい感じで楽しむことができた。

評価☆☆☆☆ (☆最悪!、☆☆悪い、☆☆☆普通、☆☆☆☆良い、☆☆☆☆☆最高!)