Misha Tsiganov / The Artistry Of The Standard

Misha Tsiganov(P)
Alex Sipiagin(Tp, Flh)
Seamus Blake(Ts)
Boris Kozlov(B)
Donald Edwards(Ds)
Rec. January 11, 2013, NY
(Criss Cross 1367)

前作の「Misha Tsiganov / Dedication(12年、別頁あり)」を聴いて一発で気に入ったミシャ・シガノフだが、本作も「Tsiganov Brothers(03年)」「Misha Tsiganov / Always Going West(07年)」「Dedication」から引き続き参加しているアレックス・シピアギン、ボリス・コズロフや、新たにシーマス・ブレイク、ドラルド・エドワーズと共演しているのだから大いにそそられる。シピアギン、ブレイク、コズロフの3人は「Alex Sipiagin/Mirages(09年)」「Opus 5 / Introducing Opus 5(11年)」「Opus 5 / Pentasonic(12年)」「Alex Sipiagin / Live at Smalls(13年)」(各別頁あり)でも共演している間柄だし、エドワードもOpus 5のメンバーなので、本作でも息の合った演奏が期待できそうだ。

ショーターの「Fall」「This is for Albert」、パーカーの「Ah-Leu-Cha」、モンゴメリーの「Four On Six」、コルトレーンの「Mr. Day」、スティーヴィー・ワンダーの「Make Sure You'be Sure」、スタンダードの「Get Out of Town」、「The Song is You」、「Falling in Love with Love」で全9曲。
シガノフがデヴィッド・キコスキとよく似た感じのハンコック・タイプのピアノを弾いているので、バンドとしての演奏もOpus 5と大きくは変わらない印象。でも私はこの手の演奏が大好きなので、アレンジを含めた選曲のセンスも抜群にいいことも相まって、終始ノリノリで楽しめる。特に1曲目の「Fall」は、ビートがラテン調から4ビートへ、また拍子もコロコロと変わる中(変拍子の部分もあり)、各人がカッコいいモーダルなプレイをしているのに加えて、早くもエドワーズまでがソロをとっていて、最高にいい感じに仕上がっているね。2曲目「Get Out of Town」や3曲目「The Song is You」のようなスタンダード曲にも、「Fall」と同じような現代的なアレンジが施されていて、単なる「せーの」的なセッションには終わっていないのも素敵だし、3曲目のようにピアノトリオだけの曲が用意されているのも、ソロイストが多いことによるシガノフのプレイの聴き足りなさを補っていていい塩梅。4ビートをメインにこれだけカッコいい演奏をされてしまっては、もう何の文句もつけようがないね。各人の手抜きは一切なしの素晴らしいプレイに聴き惚れていたら、トータル64分があっという間に終わってしまった。
シガノフのピアノには「Misha Tsiganov / Dedication」のときのような不安定さが感じられなくなったし、編曲にもさらに磨きがかかっていて(オリジナル曲をやらずに、あえて既成曲だけで勝負しているのもグッド)、本作がこれだけ魅力的に感じられるのはOpus 5のメンバーのおかげといったところもあるにしても、やはりシガノフ自身が進歩しているからこそだろう。キコスキやジョージ・コリガンあたりとキャラクターが被ってしまっているので、何らかのプラスアルファが必要だとは思うけど、逆に考えると彼らの代役として充分やっていけるわけなので、これでいいのかもしれない。何はともあれ私の好みにバッチリ嵌っているピアニストなので、今後も注目していきたいと思っている。Criss Crossお抱えのミュージシャンになったことにより、サイド参加のレコーディングの機会も増えると思うけど、そういうときはどんなプレイをするのかも楽しみだね。
本作は演奏に加えて、レコーディング・エンジニアがTom Tedesco、ミキシングがDave Darlingtonによる録音も上々だ。

評価☆☆☆☆ (☆最悪!、☆☆悪い、☆☆☆普通、☆☆☆☆良い、☆☆☆☆☆最高!)