Rudy Royston / 303

Rudy Royston(Ds, Per)
Jon Irabagon(Ts, As, Ss)
Nadja Noordhuis(Tp)
Nir Felder(G)
Sam Harris(P)
Mimi Jones(B)1,3,5,7,11
Yasushi Nakamura(B)
Rec. April 2013, NY
(Greenleaf Music 1035)

「J.D. Allen Trio/Shine!(09年)」「Steve Cardenas/West of Middle(10年)」「Mike DiRubbo / Chronos(11年)」「JD Allen Trio / Victory!(11年)」「Linda Oh / Initial Here(12年)」「Ralph Bowen / Total Eclipse(12年)」「JD Allen Trio / The Matador and the Bull(12年)」「Tia Fuller / Angelic Warrior(12年)」「Dave Douglas Quintet with special guest Aoife O'Donovan / Be Still(12年)」「Dave Douglas Quintet / Time Travel(13年)」(各別頁あり)や、先日聴いたばかりの「Doug Webb / Another Scene(14年、別頁あり)」でも、活きのいいドラミングで魅了させてくれたルディ・ロイストンの初リーダー作。年齢は定かでないが、本人のサイトのディスコを見ると「Fred Hess / Sweet Thunder(92年)」が初レコーディングとなっているので、もう40歳前後なのかもしれない。ずいぶん前から活動しているわりには、ここ数年でメキメキと頭角を現してきた感がある。本作のメンバーのジョン・イラバゴンとは上記デイヴ・ダグラス盤の2枚でも共演。これが初聴きの女性トランぺッター、ナジェ・ノードヒュイス(?、オーストリア出身)のスペルはNadjeが正しいよう。ニール・フェルダーは初リーダー作「Nir Felder / Golden Age(14年、別頁あり)」が思ったほどではなかったね。サム・ハリスは検索してもこれといったものが見当たらず。女性ベーシストのミミ・ジョーンズは上記ティア・フラー盤でも共演。中村恭士は、こういうコンテンポラリー・ジャズ系に日本人(といってもシアトル育ちのようだが)が参加していること自体が珍しいので期待している。

ロイストン曲が9曲と、Radioheadの「High and Dry」、モーツァルトの「Ave Verum Corpus」で全11曲。
変拍子もありの現代的な非4ビートが中心。トータルサウンドを重視しながらの、比較的シンプルなドラミングの曲が多いのだが、2曲目「Play on Words」では容赦のない炸裂ぶりを見せているし(ドラムソロもパワフルかつスピーディーで、手が付けられない状態になっている)、5曲目「Gangs of New York」のドラムソロを挟んだ中盤からのロック調のギンギンな盛り上がり、6曲目「High and Dry」での4ビートによるアグレッシブなドラミング、曲調が刻々と変化するアルバムタイトル曲の8曲目「303」でのダイナミックな盛り上がり、ドラムソロからスタートする10曲目「Bownze」でのアップテンポな4ビートにおける非常にスリリングな演奏と、ドラムスが活躍している曲もちゃんと用意されているので、叩き足りなく感じることは全くない。そんなルイストンのシンプルさと派手さの両面が楽しめるドラミングが一番の聴きどころなのだが、イラバゴンも曲によりテナー、アルト、ソプラノを持ち替えながら実にいい仕事をしているし(特にソプラノが絶品)、ノードヒュイスも私好みの吹き方ではないものの、女性的な優しさが醸し出されたプレイが魅力的だし、フェルダーはリーダー作のできの悪さが信じられないほどに気合の入ったバッキングとアドリブをとっているし、ハリスも曲によってのハンコックを連想させるようなテンションの高いピアノがカッコいい。またジョーンズと中村も、クレジットを見ないとどちらが弾いているのか分からないけれど(2人一緒に参加している曲もあり)、それなりのベースで聴かせてくれる。曲によりスポットを当てる人を代えているのも、それぞれ違う曲調と相まっていい塩梅(オーバーダブによるパーカッションも効果的)。本作を聴いてロイストンがドラムスのテクニックだけではなく、作編曲能力にも長けていて、なおかつバンドリーダーとしての資質も兼ね備えていることがよく分かった。ちなみに11曲目「Prayer (for the earth)」の後には、しばらくすると1曲目の「Mimi Surise」がリフレイン的に出現するので、それまでの間は席を立たない方がいいだろう。
ドラマーのリーダー作として十分に納得のいく内容に仕上がっているし、各楽器が温かさを伴っていながらも、芯のあるガッチリした音で録れている録音も良好で、先日聴いた「Pat Metheny Unity Group / Kin(←→)(14年、別頁あり)」と比べると聴き劣りしてしまかなと懸念したけれど、全然そういうことはなかった。これでガツンとくる曲がもう2曲ぐらい入っていれば迷わず5つ星にしただろう。

評価☆☆☆☆ (☆最悪!、☆☆悪い、☆☆☆普通、☆☆☆☆良い、☆☆☆☆☆最高!)