Ulysses Owens Jr. / Onward & Upward

Ulysses Owens Jr.(Ds, Per, Vo)
Anat Cohen(Ts, Cl)
Jason Palmer(Tp)
Michael Dease(Tb)
Gilad Hekselman(G)
Christian Sands(P)
Reuben Rogers(B)
Cherles Turner(Vo)10
Adam Rongo(As)2
Benny Benack(Tp, Vo, Per)1,8
Matthew Rybicki(B)2,6,8
Rec. February 19, September 30, 2013, NJ
(Spice of Life SOL NS0001)

2枚目のリーダー作「Ulysses Owens Jr. / Unanimous(12年、別頁あり)」を始め、「Christian McBride Big Band / The Good Feeling(11年)」「Christian McBride & Inside Straight / People Music(13年)」「Michael Dease / Coming Home(13年)」「Christian McBride Trio / Out Here(13年」(各別頁あり)と、これまではお師匠さん的存在と思われるクリスチャン・マクブライドとの共演が多かったユリシス・オーウェンズJr(1982年生まれ)だが、本作ではいよいよ独り立ちで(プロデュースも本人が担当、コ・プロデュースはマイケル・ディーズが務めている)、アナット・コーエン、ジェイソン・パーマー、ディーズ、ジラッド・ヘクセルマン、クリスチャン・サンズ、ルーベン・ロジャースといった精鋭と、どのような演奏を繰り広げているのか興味深い。ちなみにこれは国内盤だけど、「日本先行発売」となっているので、いずれは輸入盤もリリースされるのかもしれない。

オーウェンズJr曲が2曲、ディーズとの共作が1曲、コーエン、ロジャースとの共作が1曲、ベニー・ベナックとの共作が1曲、Thom Bellの「Just 25 Miles To Anywhere」、Frank Buchanan & Kurt Stockdaleの「SST」、Steve Porcaro & John Bettisの「Human Nature」、ショーターの「Fee Fi Fo Fum」、Daniel Deckinsonの「Exodus」、Thom Bell & Linda Creedの「People Make The World Go Round」で全11曲。
4ビートが中心だった「Ulysses Owens Jr. / Unanimous」とは異なり、こちらの方は8・16ビート系をメインに、より多くのリスナーにアピールできるようなスタイルをとっているのだが、かといってヒップホップとかの変にポップな作りになっているわけでもなく、やっていることはれっきとしたジャズなので(それはこのメンバーからも想像できるだろう)、安心して楽しむことができる。でも落ち着いたテンポの曲調が多いこともあって、肝心のオーウェンズが思ったほどは叩きまくっていないのは残念。ライナーを見ても「自分のことを前面に出すより、バンドとしてのサウンドがまとまるほうを優先した」と書いてあるけれど、私としてはこれまでのような若さに満ち溢れたエネルギッシュなドラミングに期待しての購入なので、確かにバンドとしてはいい感じの演奏をしているけれど、できればパンチの効いた曲を多く用意して、もっとダイナミックに叩きまくって欲しかった。メンバーの中ではコーエン、パーマー、ディーズが曲ごとに大活躍しているし、ヘクセルマンも出番は少ないものの、4ビート曲の7曲目「Fee Fi Fo Fum」ではさすがのプレイ(アンプのビリつきは気になるが)で聴かせてくれる。またサンズも6曲目「Human Nature」にも対応できうる引き出しの多さを見せつけてくれるし、マクブライドの代わりに参加しているロジャースも、持ち前の強靭なベースがカッコいい。楽曲としては「Fee Fi Fo Fum」と、同じく4ビートの9曲目「Exodus」が非常にガッツのあるアグレッシブな演奏で大いに気に入った。それと男性ヴォーカル(Cherles Turner)入りではあるけれど、昔「Milt Jackson / Sunflower」でよく聴いた「People Make The World Go Round」を10曲目でやっているのも嬉しいね。11曲目「Drum Postlude」では多重録音による、ビリー・コブハムのジャズ版的なドラムソロが楽しめたりして、アルバム後半の方が総じていい感じに仕上がっている。
演奏には全面的に共感できるといったわけではないのだが、録音は管楽器とヴォーカルが非常に温かみがあり、それでいながらドラムスとベースはちゃんと力感のある音で録れているのが素晴らしい。本作はこの音の良さだけでも楽しめてしまう。

評価☆☆☆☆ (☆最悪!、☆☆悪い、☆☆☆普通、☆☆☆☆良い、☆☆☆☆☆最高!)