Doug Webb / Another Scene

Doug Webb(Ts)
Peter Zak(P)
Dwayne Burno(B)
Rudy Royston(Ds)
Rec. February 6, 2013, NY
(Posi-Tone Records PR8115)

前作「Doug Webb / Swing Shift(12年、別頁あり)」でのコルトレーン・ライクなプレイが素敵だったダグ・ウェブだが、メンバーをガラリと代えての本作もドウェイン・バーノ、ルディ・ロイストンの活きのいいどころと共演しているのだからそそられる。特にロイストンは近年メキメキと頭角を現していて、初リーダー作「Rudy Royston / 303」をリリースするまで成長しているので、本作でのプレイも楽しみ。このメンバーに、以前はライアン・カイザーのアルバムでの吹き込みが多かったピーター・ザック(リーダー・アルバムも9枚リリースされている)が加わって、どういう演奏をしているのかワクワクする。

ウェブ曲が6曲、ケニー・ホイーラーの「Smatter」、ブルーベックの「Southern Scene」、ジョビンの「Double Rainbow」、ヴァーノン・デュークの「What Is There To Say」、サド・ジョーンズの「Bird Song」、ベニー・カーターの「Only Trust Your Heart」で全12曲。
相変わらずコルトレーン・ライクなウェブだけど、ロイストンのアグレッシブなドラミングに煽られて、ますますいい感じになっているね。またマッコイ・タイナーとは奏法の異なったザックのバップ調のピアノもいい味わいを醸し出しているし、バーノのどっしりとしたベースも、この演奏にはバッチリ嵌っている。速めの曲を主体としながらの4ビートの直球勝負で、なおかつモーダル臭もプンプンなのだから、この手の曲調が大好きな私としては無条件で楽しめる。もちろん4曲目「Southern Scene」のように、歌もの的な曲調のバラード等もちゃんと用意しているので、聴き疲れするようなことは全くないし、音的にもテナーが非常にまろやかに録れていて、必要以上にハードには感じさせないのもいい塩梅。またオリジナルの5曲目「Another Step」は、「Giant Steps」のもろパクリだったりして、演奏だけではなく楽曲的にも好感が持てる。スピリチュアルな出だしの7曲目「Eulogy」(6/8拍子曲)なんかも、コルトレーン・カルテットがそのまま乗り移ったような演奏で実にいい雰囲気だし、続く超高速の8曲目「Rhythm With Rudy」では、タイトルのごとくルイストンが大炸裂。他のオリジナル曲もどれもが優秀だし、既成曲とのバランスもよく取れている。
選曲よし演奏良しに加えて録音も上々で(ベースだけは少々不鮮明だが)、スタンリー・クラークの参加に釣られて購入した「Doug Webb / Swing Shift」も相当よかったけれど、本作はそれ以上に気に入った。ウェブは知名度が低いながらも、同じコルトレーン派のテナー奏者であるデイヴ・リーブマン、スティーヴ・グロスマン、マイケル・ブレッカー、ブランフォード・マルサリスあたりと比較しても遜色ない、というかむしろ優れている部分も多々あるので、こっち系のテナーが好きな人は本作を買っても損はないと思う。

評価☆☆☆☆☆ (☆最悪!、☆☆悪い、☆☆☆普通、☆☆☆☆良い、☆☆☆☆☆最高!)