Steve Turre / The Bones of Art

Steve Turre(Tb, Shells)
Steve Davis(Tb)Except 8
Robin Eubanks(Tb)6,8
Frank Lacy(Tb)Except 6
Xavier Davis(P, Rhodes)
Peter Washington(B)1-5,7-10
Kenny Davis(El-B)6
Willie Jones III(Ds)
Pedro Martinez(Congas)10
Rec. March 18, 2013, NY
(HighNote HCD7251)

前作「Steve Turre / Woody's Delight(12年、別頁あり)」は5人のトランぺッターとの共演が聴きものだったスティーヴ・トゥーレだが、本作では「The Four Freshmen and 5 Trombones(56年)」を連想させるような、スティヴ・デイヴィス、ロヴィン・ユーバンクス、フランク・レイシーとの4トロンボーンとなっているのが興味深い。クレジットを見ると実際には3トロンボーン編成のようだけど(和音的なことが関係しているのかも)、このメンバーではたしてどういうことになっているのか楽しみだね。他のメンバーのザヴィア・デイヴィスとピーター・ワシントンは「Steve Turre/Keep Searchin'(06年、別頁あり)」にも参加していたとして、今回はドラマーがウィリー・ジョーンズIIIなのにもそそられる。

トゥーレ曲が6曲、デイヴィス曲が2曲、ユーバンクス曲が1曲、レイシー曲が1曲で全10曲。
3人のトロンボニストのアンサンブルを生かしながらの、ハードバピッシュかつスウィンギーな演奏。同じ楽器が3本なので、最初は誰が吹いているのか分からないかなとも思ったけれど、ダイナミックかつユーモラスなトゥーレ、端正ながらも速いパッセージで攻めているデイヴィス、フィーリング感がたっぷりのレイシーと、楽器の音色も含めて各人の個性がハッキリしているので、比較的簡単に聴き当てることができる。2曲のみに参加のユーバンクスも含めて、各人とも自分の持ち味を存分に発揮していて実にいい塩梅だね。また曲によってはエレピも弾いているザヴィアも、どんな曲調であってもバッチリ嵌ったプレイで聴かせてくれるし、ジョーンズIIIも近作のリーダー作「The Willie Jones III Sextet / Plays The Max Roach Songbook: Live at Dizzy's Club Coca-Cola(13年、別頁あり)」ほどではないにしても、控えめに叩いていながらもアドリブ奏者を盛り立てているドラミングが素晴らしい。ワシントンだけはベースの音がボケ気味に録れていて、いつものようなガッチリした芯の強さは感じられないし、ソロの見せ場も多くはないので、なんとなく影が薄いような気がしないでもないのだが、それでも彼の相変わらずの上手さは十分に伝わってくるので、これでよしとしよう。その代わりといってはなんだけど、6曲目に参加しているケニー・デイヴィスは、ファンク調の曲でギンギンにエレベを弾いている。
トロンボニストが互いに触発し合いながら白熱の演奏を繰り広げているといったわけではないものの、バンドとして調和のとれた演奏には非常に好感が持てるし、スライド・ハンプトン、エリントン、パーカー、カーティス・フラー、ブレイキー(ショーター)等に捧げられている楽曲も優秀なおかげで、終始ノリノリで楽しむことができた。最後の曲をペドロ・マルチネスを加えたラテン演奏で締めているのもグッドだね。録音(エンジニアはDavid Stoller)も、ベースだけはワシントン本来の持ち味があまり感じられないものの、トロンボーンの特性を生かした温かみのある音色で録れているのが、私の好みと合致している。

評価☆☆☆☆ (☆最悪!、☆☆悪い、☆☆☆普通、☆☆☆☆良い、☆☆☆☆☆最高!)