Iverson, Konitz, Grenadier, Rossy / Costumes Are Mandatory

Ethan Iverson(P)
Lee Konitz(As, Vo)
Larry Grenadier(B)
Jorge Rossy(Ds)
Rec. August, 2012, NY
(High Note HCD7249)

イーサン・アイバーソンという名前は知らなくても、The Bad Plusのピアニストといえばピンとくる人も多いのではと思う。わたし的にThe Bad Plusは「The Bad Plus/Prog(07年、別頁あり)」以降全然買っていないし、他にも「Billy Hart/Quartet(06年、別頁あり)」「Billy Hart / All Our Reasons(12年、別頁あり)」でしか耳にしていないのだが、本作にはかつてのブラッド・メルドー・トリオのメンバーだったラリー・グレナディアとホルヘ・ロッシーが揃って参加しているので、すぐに飛びついた。このメンバーにリー・コニッツも加わって、はたしてどういうジャズが展開されているのか楽しみだね。

アイバーソン曲が6曲、コニッツ曲が3曲、スタンダード系の「Try a Little Tenderness」「What's New」「Body and Soul」「Blueberry Hill」「My Old Flame」で全14曲。
The Bad Plusとは異なり演奏はかなりオーソドックス。オリジナルも1曲目のブルース曲のように比較的分かりやすい楽曲が多いのは、高齢のコニッツに配慮してのことだと思うけど、そんな中各人ともがなかなか雰囲気のある演奏をしていていい塩梅。演奏的には同じくコニッツが参加している「Lee Konitz, Brad Mehldau, Charlie Haden, Paul Motian / Live at Birdland(11年、別頁あり)」とも似ている部分があるけれど、もしかするとそれを聴いてアイバーソンもコニッツと共演してみたくなり、どうせだったらメルドー・トリオの前メンバー(グレナディアは現メンバーでもあるが)ということだったのかもしれない。コニッツを引き立たせるために、場面によってはアイバーソンがバッキングを休んでいたりもするけれど、イントロ部分をピアノソロにして個性的なプレイをしていたりもするので、特に弾き足りないと感じることはない。曲によってはメルドーの得意技である左手・右手の別メロディー弾き的な奏法を試みているのが微笑ましいね。またそれ以上にロッシーが、かなりポール・モチアンを意識して叩いているということは、やはり「Lee Konitz, Brad Mehldau, Charlie Haden, Paul Motian / Live at Birdland」に相当インスパイアされているのだろう。そう思いながら聴いていると、グレナディアのベースもチャーリー・ヘイデンのように思えてくる。バンドとしての演奏には大きな不満はないのだが、1曲1曲が短めなのと、速めのテンポの曲がごく僅かで、全体的にゆったり感が醸し出されているのが、これはこれで雰囲気的には悪くないものの、もう少しガツンとした要素がほしくなってしまう。この辺のことはThe Bad Plusで散々やってきたので、意図的に排除したのかもしれない。でもコニッツが休んでいる8~12曲目(「Blueberry Hill」以外はアイバーソンのオリジナル曲)では、フリー的なアプローチやピアノの弦を弾いている曲もあったりして、ここまでとは流れを変えているし、それがアルバムのいいアクセントにもなっているね。また13曲目では珍しいコニッツのスキャットプレイも堪能できる。
演奏はそれなりにいい感じだし、各楽器が図太い音色で録れているのに加えて、スピーカーの前面に音像が浮かび上がってくる録音(エンジニアはPete Rendeという人)も良好。落ち着いた演奏が主体だし、ロッシーのドラムソロも一切ないわりには最後まで退屈せずに楽しむことができた。

評価☆☆☆☆ (☆最悪!、☆☆悪い、☆☆☆普通、☆☆☆☆良い、☆☆☆☆☆最高!)