George Benson / Inspiration: A Tribute to Nat King Cole

George Benson(G, Ukulele, Vo)
Randy Waldman(P)
Tim May(G)
Chuck Berghofer(B)
Gregg Field(Ds)
Michael Fisher(Per)
Sheila E.(Per)3
Janey Clewer, Alvin Ches, Don Chelton(Background-Vo)9,10
Chris Papastephanou, Randy Waldman(Background-Vo)10
Special Guests: Till Bronner(Tp)10, Jodith Hill(Vo)11, Idina Menzel(Vo)5, Wynton Marsalis(Tp)3
Henry Mancini Institute Orchestra: Ryan Chapman(Tp), Chris Burbank(Tp), Gilbert Paz(Tp), Jared Hall(Tp), Chris Gagne(Tb), Kendall Moore(Tb), Stephen Szabadi(Tb), Major Bailey(Tb), Neil Carson(As), Kevin McKewn(As), Mark Small(Ts), Alex Weitz(Ts), Derek Smith(Bs), Cassandra Eisenreich(Fl), Jon Anderson(French Horn), Steffen Zeichner(Vln), Abby Young(Vln), Adam Diderrich(Vln), Karin O'Keefe(Vln), Zack Piper(Vln), Michelle Godbee(Vln), Patricia Jancova(Vln), Tomas Cotik(Vln), Victor Colmenares(Vln), James Reynolds(Vln), Jonah Osawa(Vln), Rob Patrignani(Vln), Arianne Urban(Vln), Michelle Mlacker(Vln), Katrina Schaeffer(Vln), Robyn Savitzky(Viola), Kathryn Severing(Viola), Marcela Femandez(Viola), Lauren Miller(Viola), Joy Adams(Cello), Cecilia Huerta(Cello), Andrew Kromholz(Cello), Chia-Li Yu(Cello), Sarah Gongaware(Cello), Rachel Hershey(Bass), Jeff Kipperman(Bass), Yen-Ling Lin(Bass)
Rec. 2012?, LA
(Concord Records 7234268)

私が好きなジョージ・ベンソンは「George Benson / Breezin'(76年)」までで、ヴォーカル主体にやるようになってからはアルバムを買ったり買わなかったりしているのだが、近作の2作品「George Benson & Al Jarreau/Givin' it Up(06年、別頁あり)」「George Benson / Guitar Man(11年、別頁り)」(「Songs and Stories(09年)」はパスしている)はいつもながらのスムースジャズなのにもかかわらず意外とフィットしたので(それだけ私も丸くなってきたということか)、本作にも迷うことなく飛びついた。今回はナット・キング・コール・トリビュートだし、ジャケットも歌っている写真なので、当然ながらヴォーカルの割合は増えていると思うけど、ピアニスト、アレンジャー、コ・プロデューサーとしてランディ・ウォルドマン(「Randy Waldman Trio/Timing is Everything(05年、別頁あり)」が最高だった)が参加しているので、演奏面においても大いに楽しめそう。他のメンバーはベースのチャック・バーグホファー(「Roberta Gambarini/Easy to Love(05年)」「John Proulx/Moon and Sand(06年)」「Wayne Bergeron/Plays Well With Others(07年)」「The Trio/Live @ Charlie O's(10年)」「Patrick Williams The Big Band / Aurora(11年)」「Arturo Sandval / Dear Diz (Every Day I Think Of You)(12年)」「Lee Ritenour / Rhythm Sessions(12年)」(各別頁あり)に参加していた)、同じく「Arturo Sandval / Dear Diz (Every Day I Think Of You)」参加のドラマーのグレッグ・フィールド以外は、ゲスト参加のシーラE、ティル・ブレナー、ウィントン・マルサリスしか知らないが、経歴等はいちいち調べるのも大変なので割愛する。

「Mona Lisa」「Just One Of Those Things」「Unforgettable」「Walkin' My Baby Back Home」「When I Fall In Love」「Route 66」「Nature Boy」「Ballerina」「Smile」「Straighten Up And Fly Right」「Too Young」「I'm Gonna Sit Right Down And Write Myself A Letter」「Mona Lisa」で全13曲。
1曲目だけはベンソンが8歳の頃の吹き込み(ウクレレを弾きながら歌っている)で、以降の曲はビッグバンドやストリングスを伴いながらの演奏となっているのだが、ウォルドマンの他にネルソン・リドル・アレンジの譜面も用いているので、どの曲も非常にいい雰囲気で楽しむことができる。変に8、16ビート系のアレンジにすることなく、ナット・キング・コールに敬意を表して全曲4ビートで統一しているのもいい塩梅だね。ベンソンのアルバムにはこういうのが少ないので、もうそれだけでも買ってよかっという気になってしまうのだが、演奏もまたベンソンのボーカルやギターが上手いのは当然として(2曲目「Just One Of Those Things」や12曲目「I'm Gonna Sit Right Down And Write Myself A Letter」ではお得意のギター同時弾きのスキャットも披露している)、ウォルドマン、ティム・メイ、バーグホファー、フィールドの核となっているメンバーに加えてHenry Mancini Institute Orchestraの面々も素晴らしい仕事をしていて、本格的なジャズのビッグバンドと比較しても遜色ないアンサンブルとグルーブで楽しませてくれるのだから(大編成のストリングス・セクションも見事)、さすがに大したもの。そんなゴージャスなオーケストラ・サウンドに乗っかりながら、なおかつ曲によっては女性ヴォーカリストとデュエットしながら、ベンソンはどの曲でも非常に気持ちよく歌っていて、ナット・キング・コール・トリビュートに相応しい演奏内容となっている。ラストの13曲目を1曲目と同様の「Mona Lisa」で締めている、少年時代と現在の姿がオーバーラップする(それに加えてキング・コールも)アルバム構成も実にいいね。
わたし的には全く興味がないけれど、本作は今年度のグラミー賞確定かな。演奏(ヴォーカル含む)は文句なしに素晴らしいし、アル・シュミットの録音も非の打ちどころがない。

評価☆☆☆☆ (☆最悪!、☆☆悪い、☆☆☆普通、☆☆☆☆良い、☆☆☆☆☆最高!)