Aldo Romano' New Blood / Plays

Aldo Romano(Ds)
Baptiste Herbin(As)
Alessandro Lanzoni(P)
Michel Benita(B)
Rec. May 28-29, 2012, Paris
(Dreyfus Jazz FDM4605036984)

アルバムごとにメンバーもコンセプトも変えているアルド・ロマーノの近作は、「Aldo Romano / Complete Communion To Don Cherry(10年)」「Aldo Romano / Inner Smile(11年)」「Romano Sclavis Texier / 3 + 3(12年)」(各別頁あり)のどれもが素晴らしかったので、ジャケットの毒々しい色のキノコはイマイチ好きになれないけれど、本作にもすぐに飛びついた。New Bloodというタイトルどおり、今回は若手のメンバーを交えたレコーディングとなっているのだが、その中のアレッサンドロ・ランツォーニは、1ヶ月ほど前にもリーダー作「Alessandro Lanzoni Trio / Dark Flavour(13年、別頁あり)」を聴いたばかり。ロベルト・ガットもお気に入りのピアニストだけど、はたしてロマーノのところではどのようなプレイをしているのか楽しみだね。アルトのバプティスト・エルバン(?)はこれが初聴きと思っていたけれど、自ブログで検索したら「Keith Brown / Sweet & Lovely(11年、別頁あり)」に参加しているのが見つかった。ベースのミシェル・ベニータは若手ではなく、1954年生まれのベテラン。私としては大好きな「E_L_B(01年)」「E_L_B/Dream Flight(08年、別頁あり)」で馴染み深い。テーマとなっているThe Connectionというのは、HMVレビューによると1959年初演のジャズ・ミュージカルだそうだ。

ロマーノ曲が1曲、エルバン曲が1曲、フレディ・レッドの「Who Killed Cock Robin」「Wigglin'」「Music Forever」「Time To Smile」「Theme For Sister Salvation」「Jim Dunn's Dilemma」「O.D.(Overdose)」、ジョージ・シアリングの「Ballde For Jackie」で全10曲。
バップ・テイスト溢れる演奏の中、エルバンが元気いっぱいに吹いていて実にいい塩梅。近年のフランチェスコ・カフィーソと比べると荒削りではあるけれど、彼もまたパーカー、マクリーン、ウッズあたりを連想させるような威勢のいいアルトで楽しませてくれる。またランツォーニも「Alessandro Lanzoni Trio / Dark Flavour」とはやっている音楽の方向性が異なってるにもかかわらず、曲調にバッチリ嵌ったピアノを弾いているのだから大したものだね。バラード調の曲が増えてくるアルバム後半では、エルバン以上に聴かせてくれる。そんな2人に大きくスポットが当たっていて、ベニータとロマーノはほとんどバッキングに徹しているだけなのだが、特にロマーノは若い2人に刺激を受けたと見えて大張り切りして叩いているね。それにはランツォーニのことを可愛がっている、同じドラマーのガットには負けたくないという気持ちも少しはあったのかもしれない。ベニータはこういう純ジャズをやっているのをこれまで聴いたことがなかったけど、やはり上手い人は何をやらせても上手いものだ。綺麗なバラード曲の8曲目「Murmur」(ロマーノ曲)でのベースソロも聴きものだね。バンドとしての演奏は極々オーソドックスだけど、この手の音楽というか選曲にはこれ以上のものは必要ないと思う。
The Connectionというミュージカルについては、ミュージカル自体にあまり興味がないこともあって、これまで知らなかったのだが、楽曲の半分以上は知っている曲なので非常に親しみやすく感じるし、収録時間が約39分というLPなみの短さなのも昔の雰囲気が味わえて悪くない。録音はアルトの音に若干の人工臭が感じられるけど、この威勢のいい演奏にはよくマッチしているので気にならない。

評価☆☆☆☆ (☆最悪!、☆☆悪い、☆☆☆普通、☆☆☆☆良い、☆☆☆☆☆最高!)