Adam Baldych & The Baltic Gang / Imaginary Room

Adam Baldych(Vln)
Jacob Karlzon(P)
Lars Danielsson(B, Cello)
Morten Lund(Ds)
Verneri Pohjola(Tp)
Marius Neset(Ts, Ss)
Nils Landgren(Tb)5,8
Rec. March 11-13, 2012, Berlin
(ACT 9532)

「Iiro Rantala / My History of Jazz(13年、別頁あり)」に参加していたアダム・バウディフ(?、ポーランド生まれ)の4枚目(かな?)のリーダー作。昨年6月のリリースだけど、本作と思われる音源を本人のサイトで試聴したら私の好みにバッチリだったので即購入した。メンバーのラーシュ・ダニエルソンとモーテン・ルンドは上記イーロ・ランタラ盤でも共演しているのだが、それに加えてヤコブ・カールソンと、ゲストでニルス・ラングレンまでが参加しているのだからワクワクするね。他のメンバーのヴェルネリ・ポホヨラ(?、1977年、フィンランド生まれ)は「The ACT Jubilee Concert(12年、別頁あり)」に参加していた人。これが初聴きのマリウス・ネセット(ノルウェー生まれ?)は本人のサイトが見つかったので、あとで目を通しておこう

全12曲がバウディフのオリジナル。
まずは本人のサイトから流れてくる曲が、本作の1曲目なことに安堵する。この曲目当てで買ったようなものだからね。モーダルな曲調の中、バウディフが高度なテクニックを用いながらアグレッシブに弾きまくっているのと、マイケル・ブレッカー・ライクなネセットのテナーが滅茶苦茶カッコいいし、ルンドもオーソドックスなジャズをやっているときとは一味違ったロック調ドラミングで楽しませてくれる。2曲目はベースラインとピアノの左手のユニゾンが1曲目と似ているけど、こちらの方はバラード調なので異なった雰囲気で聴こえるね。この曲はバウディフの独壇場なのだが、アドリブを取っている最中にカールソンがバッキングでオブリガード的に弾いているちょっとしたフレーズを、逆にバウディフが瞬時に引用していたりして、なかなかのやり手ぶりを見せつけてくれる。ダニエルソンのソロからスタートする3曲目は、ルンドがマレットを用いている正真正銘のバラード曲。ヴァイオリンという楽器に曲調がよくマッチしているし、それでいながら決して甘口な演奏にはなっていないのもいい塩梅。そんなに長くアドリブは取っていないけど、ネセットもさりげない上手さで聴かせてくれる。4曲目は1曲目と似ている感じのロック調。メロディーにはどこかの国の民族音楽的なものが感じられるのだが、この曲になって初めてカールソンがアドリブを取っているのと、テーマ部分にポホヨラがミュート・トランペットで参加しているのがいいアクセントとなっているね。5曲目はラングレン参加のバラード曲。ここまで聴いてゆったりめの曲が多いのが気になってきたのだが、曲調自体はそれぞれ違うので、これでよしとしておこう。この曲ではネセットがアドリブ一番手で活躍しているけれど、聴けば聴くほどブレッカーにそっくりなのが微笑ましい。逆にラングレンはテーマをちょこっと吹いただけで終わってしまっている。6曲目はカールソンとのデュオ。非常に美しいメロディーで、ヴァイオリンがまるで二胡を弾いているかのように聴こえるのだが、この辺の美的感覚は正式にクラシックを学んだことからきているのだろう。7曲目もまたバラードということで、やはり食傷気味になってきた。曲調も6曲目の延長のような感じだしね。そんな中ポホヨラが初めてアドリブをとっているのだが、意識的にスカスカ音を出しているのは、マーク・アイシャムやニルス・ペッター・モルヴェルあたりの影響なのかな。あまり好きな吹き方ではないけれど、曲調にはよくマッチしている。8曲目も出だし部分からして大人しめな曲かと思いきや、途中からダイナミックに盛り上がっていて、これは最高にいい感じ。ラングレンだけはまたちょっと吹いただけで終わってしまっているけれど、やはり私にはこういうルンドが活躍している曲の方が合っている。
残りの曲は省略するけれど、ヴァイオリンという楽器の特性上ゆったり目の曲が多いながらも、アルバムとしての動と静のバランスはきちんと取れているのに加えて、ACT盤だけあって録音も上々なので、最後までそれなりにいい感じで楽しむことができた。でもこれだけいいメンバーが揃っているのだから、ネセット以外の見せ場ももっと増やしてもよかったのではと思うけどね。それとバウディフも、今後はもっとアグレッシブな部分を前面に打ち出しす必要がありそう。でないとジェリー・グッドマン、ジャン=リュック・ポンティ、ディディエ・ロックウッド、ロブ・トーマス、マッズ・トーリング等には太刀打ちできないような気がする。

評価☆☆☆☆ (☆最悪!、☆☆悪い、☆☆☆普通、☆☆☆☆良い、☆☆☆☆☆最高!)