Roberto Gatto, Alessandro Lanzoni, Gabriele Evangelista / Replay

Alessandro Lanzoni(P)
Gabriele Evangelista(B)
Roberto Gatto(Ds)
Rec. March 3-5, 2011, Camerino, Italy
(Parco Della Musica Records MPR040)

ロベルト・ガットの近作の3枚(「Roberto Gatto Quintet/Remembering Shelly(10年)」「Roberto Gatto Quintet / Remembering Shelly #2(10年)」「Roberto Gatto and Lysergic Band / Pure Imagination(11年)」各別頁あり)は、マックス・イオナータ絡みでAlbore Jazzからのリリースだったのだが、本作は別口。イタリアのカメリーノという、人口7,000人ほどの小さな町でレコーディングされている。メンバーのアレッサンドロ・ランツォーニは、上記「Pure Imagination」にも参加していることからして、きっとガットのお気に入りなのだろう。リーダー作はこれまでに「Alessandro Lanzoni / I Should Care(06年、レコーディング時はなんと14歳、同じく神童のフランチェスコ・カフィーソも参加)」「Alessandro Lanzoni / On The Snow(07年)」がリリースされている。またベースのガブリエリ・エヴァンゲリスタ(1988年生まれ)は「Enrico Rava Quintet / Tribe(別頁あり)」に参加しているだが、ガットもエンリコ・ラヴァとは共演する機会が多いので、もしかすると本レコーディングへの参加はラヴァ絡みだったのかもしれない。

ガット、ランツォーニ、エヴァンゲリスタ曲が各2曲、三人の共作が2曲、ショーターの「Ana Maria」、ジョビンの「Double Rainbow」、デューイ・レッドマンの「Mushi Mushi」、モンクの「Pannonica」で全12曲。
まずはランツォーニのピアノだけど、リリカルさとダイナミックさを兼ね備えていて実にいい塩梅。そのメリハリをつけながらの表情豊かなプレイはとても20歳前後とは思えないほど。曲によってはフリーな方向にも行っているけど、どんな曲調のものであっても最高の表現力で聴かせてくれるのだから大したものだね。奏法的にはエンリコ・ピエラヌンツィに近いものがあるのだが、音の深みに関してはむしろランツォーニの方が上回っているように感じられたりして、本演奏を聴くと彼が14歳という若さでリーダー作をリリースしているのもよく分かる。またエヴァンゲリスタのベースも優秀。ゲイリー・ピーコック的に、ピアノにピタリと寄り添いながらのインタープレイがなんとも素晴らしい。そんな二人を相手に、ガットは調和を取りながら非常に繊細なプレイをしているのだが、いざというときにはランツォーニと共にダイナミックに盛り上がっているので、叩き足りないと感じることはない。とはいえ比較的テンポのゆったりとした、さらにアルバムの中盤からは静的な演奏が続いてしまっているので、聴いているうちに少々退屈してくるね。あえてバラード的なものを重視したアルバム作りにしたのかもしれないが、できれば3曲目「Mushi Mushi」のようなアップテンポの曲や、5曲目「Pannonica」のようなスウィンギーな曲がもう何曲か欲しかった。でも曲調の範囲内ではどの曲もいい感じで楽しめるので、これでよしとしよう。
ということで演奏は全面的に共感できるといったわけではないものの、録音は特にドラムスがリアルに録れているのが素晴らしい。ピアノの高域が若干キャン付いている部分があるけれど、本作は音の良さだけでも満足するね。

評価☆☆☆☆ (☆最悪!、☆☆悪い、☆☆☆普通、☆☆☆☆良い、☆☆☆☆☆最高!)