Kurt Rosenwinkel / Star of Jupiter (J)

Kurt Rosenwinkel(G, Voice)
Aaron Parks(P, Rhodes, Or, Wurlitzer, Tack-P)
Eric Revis(B)
Justin Faulkner(Ds)
Rec. March 6-9, 2012, NY
(Song X Jazz 013/014)

前作「Kurt Rosenwinkel and OJM / Our Secret World(10年、別頁あり)」は、ビッグバンドとの共演ということで期待したわりにはそれほどでもなかったカート・ローゼンウィンケルだけど、本作は壮大な宇宙がテーマのようなので、はたしてどういうことになっているのか興味深い。メンバーのアーロン・パークスとは2008年頃から共演している間柄のようだし、エリック・レヴィスは「Kurt Rosenwinkel Standards Trio/Reflections(09年、別頁あり)」に参加しているのだが、今回新たに若手ドラマーであるジャスティン・フォークナーが起用されたのは、フォークナーがレヴィスと共にブランフォード・マルサリス・カルテットの一員であることが関係しているのだろう。「Branford Marsalis Quartet / Four MFs Playin' Tunes(12年、別頁あり)」では二十歳前とは思えないほどの素晴らしいドラミングを披露していたし、その後にリリースされた「Jacky Terrasson / Gouache(12年、別頁あり)」でもまた違う切り口でアプローチしていて、今後の活躍にも大いに期待しているのだが、そんなフォークナーをいち早く起用してみようという気になったローゼンウィンケルもさすがに先見の明があるね。ちなみに本作はジャッキー・テラソン盤よりも2ヶ月前の録音となっている。

全12曲(Disc 1が6曲、Disc 2が6曲)がローゼンウィンケルのオリジナル。
コンテンポラリー・ジャズとフュージョンの境目は曖昧なのだが、1曲目と2曲目は、これでベースがウッドではなくエレキだともろフュージョンといった感じの演奏が続いている。その後の3曲目からは4ビート基調の曲もやっているけど、他の曲でも見受けられるようなテーマ部分のコーラス以外に、ギターのフレーズに合わせてスキャットもしているのだから、なんとなくジョージ・ベンソンを連想する。でもその辺はアドリブで唸り声を発しながらピアノを弾いているパークスに刺激を受けてのことなのかもね。そんなことはどうでもいいとして、ローゼンウィンケルのギターの上手さは相変わらずで、淀みなく流れるフレーズが実に気持ちいい。また曲調に応じながらギターの音色を変えたりしているのもグッド。さすがに宇宙をテーマにしているだけあって作曲にもそれなりに力が入っているし(といっても宇宙をイメージさせるような曲調は、せいぜい1曲目のイントロぐらいだが)、アルバムとしての動と静のバランスも非常にいいおかげで、最後までいい感じで楽しむことができる。女房役を務めているパークスの貢献度も大で、楽器を色々と変えながらのバッキングやアドリブのセンスのよさには今更ながら感心する。これがもしパークスでなければこんなに魅力的なアルバムには仕上がっていなかっただろうと思ってしまうほどに素晴らしい仕事をしているね。また芯のがっちりとしたベースで土台を支えているレヴィスのベースにも好感が持てるのだが、フォークナーに関しては一応無難には叩いているものの、「Kurt Rosenwinkel Group/The Remedy: Live At The Village Vanugard(08年、別頁あり)」でのエリック・ハーランドが滅茶苦茶凄かっただけに、それと比較するとテクニック的にも感性的にもイマイチ。でもこれぐらいのドラミングの方が、変に演奏を難しく感じさせることがなくてむしろいいのかも。ローゼンウィンケルが彼を起用したのも、まだ若いので自分のアドバイスを素直に聞いてくれるからというのが一番の理由だったのかもしれない。
ベストトラックはDisc 2の4曲「A Shifting Desin」(アップテンポの4ビート)と6曲目「Star of Jupiter」(ラテンタッチな曲)なのだが、それにしても1枚目を聴き終わって、すぐに2枚目も聴きたいと思わせてくれるのは、やはり演奏内容が相当良いということなのだろう。おかげでトータル92分という長さも全く感じない。録音はジェームス・ファーバーが担当しているけれど、ワイドレンジやダイナミックレンジといった物理特性には囚われずに、あえて若干のチープさを伴わせた音質にしているのが曲調にもよくマッチしているね。それが聴いていての安心感にも繋がっている。
ローゼンウィンケルのアルバムには他にも良いのがあるし、2枚組だからといって力作とも思えないのだが、ある意味非常に分かりやすい演奏なので、本作を繰り返して聴く頻度は高くなりそう。特に2枚目は大いに気に入った。

評価☆☆☆☆ (☆最悪!、☆☆悪い、☆☆☆普通、☆☆☆☆良い、☆☆☆☆☆最高!)