Kevin Eubanks / The Messenger

Kevin Eubanks(El-G, Ac-G)
Bill Pierce(Ts, Ss)1-5,7-9,11
Rene Camacho(B)1-5,7-9,11
Marvin "Smitty" Smith(Ds)1-7, 11
Robin Eubanks(Tb)4,8
Duane Eubanks(Tp)2,4,5
Alvin Chea(Vo)3,6
Joey de Leon, Jr.(Congas, Per)1,5
Rec. 2012?, CA
(Mac Avenue MAC1065)

久しぶりのリリースだった前作「Kevin Eubanks / Zen Food(10年、別頁あり)」では、昔と同様のスピード感たっぷりのギターで楽しませてくれたケヴィン・ユーバンクスだけど、本作ではピアノレスにして、その代わりにロビンとデュアン(馴染みの薄いトランぺッターだが、自ブログで検索したら「Orrin Evans/Listen to the Band(00年、別頁あり)」に参加しているのが見つかった)兄弟、ヴォーカル、コンガ奏者が曲によってゲスト参加しているので、また一味違ったサウンドが堪能できそうだ。核となっているメンバーのビル・ピアース、レネ・カマチョ、マーヴィン・スミッティ・スミスは前作とも変わりがないのだが、その中のスミスは「Dean Brown / Unfinished Business(12年、別頁あり)」でも、ヴィニー・カリウタも真っ青というほどの強力なドラミングを披露していたので、本作でのプレイにも期待している。

ケヴィン曲が9曲と、コルトレーンの「Resolution」、Maxwell Middletonの「Led Boots」(今までジェフ・ベック作曲だと勘違いしていた)で全11曲。
完全なフュージョン・サウンド。1曲目はオーバーダブを施しているギターとテナーのメロディー・ユニゾンが今流行りといった感じなのだが、そのギターの弾き方がなんとなくパット・メセニーを連想させるのと、アドリブに入ってからは逆にケヴィン節が炸裂で速弾きしているのが微笑ましい。またピアースのフュージョン的な曲調を意識しながらのテナーも素敵なのだが、スミスに関しては「Dean Brown / Unfinished Business」でのドラミングが凄かっただけに、それと比べると叩き足りなく感じてしまう。2曲目は悲しげなバラード曲。メロディーはあまり好きではないけれど、スミスの手叩きドラムが加わってからの演奏は次第にいい感じになってくる。3曲目「Resolution」は軽めのファンク調でやっているのが面白い。アルヴィン・チーア(Take 6の一員のようだ)のパーカッシヴなスキャットが効果的だし、後半のスミスのドラムソロも、ロッズか何かを使っているので音は軽いものの聴き応えがある。4曲目もファンク調だけど、こちらの方は3管編成のブラスがいい味を醸し出している。アドリブではロビンがエフェクターを噛ましながら大活躍。またデュアンのランディ・ブレッカー的なプレイにも好感が持てる。5曲目はWRの「Dフラット・ワルツ」を連想する3拍子ファンクだけど、デュアンがいい感じのアドリブをとっている最中にフェードアウトするのはいかがなものか。前の曲も同じ手法をとっているのでなおさらそう感じるし、肝心のケヴィンがカッティングに徹しているだけなのも納得できない。6曲「Led Boots」はチーアのパーカッシヴなスキャットとケヴィンのアコギの絡みが面白いけど、ジェフ・ベックの「Wired」での演奏があまりにもインパクトが強すぎるので、それと比べると「なんだ、この程度か」と思ってしまう。7曲目はボサノバ・タッチの単調な曲ではあるも、10拍子基調となっているのがユニーク。縦横無尽に弾きまくっているケヴィンがさすがだね。8曲目から10曲目まではドラムレスの3連チャン。曲ごとにロビン、ピアース、ケヴィンに大きくスポットが当たっているので、演奏にはそれなりの変化は感じられるものの、穏やかな曲調が続いているので、聴いているうちに退屈してくるし、8、9曲目でのケヴィンがアコギによるバッキングだけというのも疑問に感じる。11曲目はブルージーな曲調。この曲もまたゆったりしているので、できればガツンとくる曲で絞めて欲しかった。
前作「Kevin Eubanks / Zen Food」は久しぶりのケヴィンとスミスだったので新鮮な気持ちで楽しめたのだが、本作は管楽器の3人に花を持たせている分ケヴィンの見せ場が少なくなっているのと、スミスも思ったほどは活躍していないのが残念なところ。でもトータルなサウンドとしては決して悪くはないので、これでよしとしよう。各楽器の音色が温かいながらも、音場感がスッキリとしている録音も上々だ。

評価☆☆☆☆ (☆最悪!、☆☆悪い、☆☆☆普通、☆☆☆☆良い、☆☆☆☆☆最高!)