Diana Krall / Glad Rag Doll

Diana Krall(Vo, P)
Jay Bellerose(Ds)
Dennis Crouch(Ac-B)
Marc Ribot(El-G, Ac-G, Ukelele, 6 String-B, Eb Horn)1,2,3,5,6,7,8,9,10,11,12,13
Bryan Sutton(El-G, Ac-G, Baritone-G)3,4,12
Howard Coward(Ukelele, Mandola, Tenor-G, Background-Vo)4,11,12,13
T Bone Burnett(El-G)11
Colin Linden(Dobro, El-G)2,6
Keefus Ciancia(Key, Mellotron)1,2,3,4,6,7,8,9,10,11,12,13
Rec. 2012?, NY, CA
(Verve 3710109)

ダイアナ・クラールのアルバムでは、なんといってもラッセル・マローン、クリスチャン・マクブライドとの「Diana Krall / Love Scenes(97年)」が最高で、ストリングス入りやビッグバンドもののゴージャス路線はそんなに好まないのだが、クラール自身もそのようなアルバム作りをマンネリに感じたのか、本作はプロデューサーがトミー・リピューマからTボーン・バーネットに代わり、バック・ミュージシャンもジャズ系以外と思われる人(マーク・リボーは「McCoy Tyner/Guitars(08年、別頁あり)」に参加していた)が起用されているのが興味深い。おそらくこれまでとはガラリと変わったサウンドになっていると思うけど、それにしてもジャケットからしてドキッとするほどセクシーなのには驚かされる。

クレジットを見ても誰の曲なのかよく分からない楽曲で全13曲。
2ビート的、あるいはカントリーや南部的なブルース色の強い、非常に素朴なサウンドではあるけれど、とりあえずは4ビートと同様の3連ノリの演奏となっているので一安心。やはりバックが誰であれ、クラールの本質は変らないということなのだろう。そのバックがシンプルな演奏をしている分、よりヴォーカルが引き立っているね。クラールの歌の上手さは相変わらずだし、ピアノの腕前もまた然りなのだが、オールドなサウンドにマッチさせるためか、わざわざアップライトピアノのような音で録れているのには、なにもここまでやらなくてもと思ってしまう。それとこの古ぼけた演奏は、雰囲気としては悪くないとしても、ゆったりとした曲ばかりが続いているので、聴いているうちに飽きてくるね。ジャズとは違い1曲1曲が短いのも、それに輪をかけている。サウンドとしてはカサンドラ・ウィルソンの「Blue Light Til Dawn(93年)」や「New Moon Daughter(96年)」によく似ていて、それの白人版といったところだけど、べつにクラールのルーツ的な音楽をやっているわけでもないと思うので、どことなくわざとらしさを感じてしまう。
ということでプロデューサーのTボーン・バーネットのカラーが出過ぎてしまったようで、わたし的にはイマイチ。これよりだったらストリングス入りのアルバムの方がまだマシだね。クラール本人は散々やって飽きてしまったのかもしれないけれど、できることなら「Love Scenes」やそれ以前の「Only Trust Your Heart(95年)」のようなジャズコンボでの、ヴォーカルとピアノの比率が半々ぐらいの演奏で勝負して欲しいと思っている。

評価☆☆ (☆最悪!、☆☆悪い、☆☆☆普通、☆☆☆☆良い、☆☆☆☆☆最高!)