Opus 5 / Pentasonic

Seamus Blake(Ts, Ss)
Alex Sipiagin(Tp, Flh)
David Kikoski(P, Rhodes)
Boris Kozlov(B)
Donald Edwards(Ds)
Rec. April 4, 2012, NY
(Criss Cross 1351)

シーマス・ブレイク、アレックス・シピアギン、デヴィッド・キコスキ、ボリス・コズロフ、ドナルド・エドワーズによるOpus 5の第二弾。前作「Opus 5 / Introducing Opus 5(11年、別頁あり)」は、このメンバーのわりには演奏が少々保守的に感じられたのだが、本作もそれと同様に2管の特性を活かしたハードバピッシュな味付けを加味した演奏となっているのか、あるいはもう少し新し目のサウンドになっているのか、その辺のところが興味深い。でもコンスタントに活動しているバンドといったわけではないので、音楽的な変化はそんなにないような気がするけどね。あとは各人がどれだけ納得のいくプレイをしているかに期待するしかないだろう。ちなみにメンバーの中では知名度が低いとエドワーズは、Criss Crossから同時にリリースされた「Conrad Herwig / A Voice Through The Door(12年、別頁あり)」にも参加していて、そちらのドラミングも素晴らしかった。

ブレイク曲が2曲、シピアギン曲が2曲、コズロフ曲が1曲、エドワーズ曲が2曲、ハバードの「Red Clay」、パーカーの「Charlie's Wig」で全9曲。
ちょうどこういう音楽を聴きたいと欲していたためか、演奏がやけに良く感じる。なにせ1曲目からアップテンポかつ変則的なビートを駆使しながら快調に飛ばしているからね。各人の個性がきちんと発揮されていていながら、バンドとしても調和が取れていて、流石にこのメンバーだけのことはある。サウンドとしてはハードバピッシュというよりも、ブレッカー・ブラザーズをもっとジャズ寄りにした感じといった方が分かりやすいかな。それとベースソロでスタートする2曲目なんかは、デイブ・ホランドに通じるものがある。いずれにしても変拍子をさりげなく取り入れながらの演奏が滅茶苦茶カッコいいね。このバンドは誰がリーダーでもないOpus 5というバンド名義となっているだけあって、各人が対等の立場でプレイをしているのだが(ベースとドラムスのソロは少ないにしても、その分バッキングで目立っている)、トランペットとフリューゲルホーンを持ち替えながら、曲調によくマッチしたフィーリングとテクニックで聴かせてくれるシピアギンといい、前作よりも本気モードで吹いていると思わせてくれるブレイクといい、エレピも効果的に用いながらテンションの高いピアノを弾いているキコスキといい、ガッチリとしたベースで存在感たっぷりに弾いているコズロフといい、常にパンチの効いたドラミングでプッシュしているエドワーズといい、それぞれが最高のプレイで楽しませてくれる。前作もそうだったのか記憶は薄れてしまったけど、今回は非4ビートの比率が高くなっているのも、演奏がより現代的に感じられてまたいいし、そんな中での4ビート曲もたまらなくカッコいい。
キコスキを除いて各人が楽曲を持ち寄っているおかけで、曲ごとの変化に富んだ演奏が楽しめる。オリジナルの流れを崩さないように、既成曲の2曲を最後に持っていったのも正解だね。そんな演奏の良さに加えて、Criss Cross盤にしては録音も上々。各楽器が非常にバランスよく録れているし、その質感も素晴らしい。エンジニアは例によってマイケル・マルシアーノだけど、最近はアルバムによって当たり外れが目立つようになってきているので、久しぶりに納得のいく録音に巡り合えたのが嬉しいね。ちょっと甘いかもしれないけど、これはオマケして5つ星にしておこう。

評価☆☆☆☆☆ (☆最悪!、☆☆悪い、☆☆☆普通、☆☆☆☆良い、☆☆☆☆☆最高!)