John McLaughlin  and the 4th Dimension / Now Here This

John McLaughlin(G, G-Syn)
Gary Husband(P, Syn, Ds)
Etienne M'Bappe(El-B)
Ranjit Barot(Ds)
Rec. 2012?, France
(Abstract Logix ABLX037)

ジョン・マクラフリンの4th Dimensionのドラマーはマーク・モンデジールだったのだが、本作ではそれ以前のアルバム「John McLaughlin/Floating Point(08年、別頁あり)」に参加していたランジット・バロットに代わっている。インド出身のバロットは、リーダー作「Ranjit Barot / Bada Boom(10年、別頁あり)」も個性的なドラミングと音楽性が素晴らしかったし、Abstract Logixレーベルのミュージシャンが一堂に会した「Abstract Logix Live! / The New Universe Music Festival 2010(11年、別頁あり)」でも、自己のバンドやスコット・キンゼイのHuman Elementで大活躍しているのだが、元来がインド志向の強いマクラフリンとの相性もバッチリなので、本作でのプレイも楽しみだね。

全8曲がマクラフリンのオリジナル。
「Floating Point」にはバロットの他にパーカッショニストのシヴァマニも参加していたので、中には喧しく感じた人もいるかもしれないが、本作もまたバロット一人だからといって決して安心できないほどに叩きまくっているね。おそらくオーバーダブだと思うけと、曲によってはドラムス以外にパーカッションの音も鳴っているのだからなおさらなのだが、やはりこれぐらい打楽器奏者が活躍しないと現在のマクラフリン・サウンドは成立しないということなのだろう。というかそれはマハビシュヌ・オーケストラの時代から一貫していることであって、なにも今に始まったことではないのだが、特に近年のマクラフリンは自分が楽しながらも(おそらく年齢的なことが関係している)、サウンド自体は相変わらずハードな方向性なので、その分他のパートがますます重要性を帯びてくる。その点ゲイリー・ハズバンドはキーボーディストとしてもドラマーとしても優秀な逸材だし、「John McLaughlin and the 4th Dimension/To the One(10年、別頁あり)」から加入しているエティエンヌ・ムバペ(?)も、マクラフリンのバンドに参加していたこれまでのどのベーシストにも負けていないし、バロットもまた然りどころか、前任のモンデジール、あるいはそれ以前のデニス・チェンバースやヴィニー・カリウタ以上にインパクトのあるドラミングで攻めているので、ここ数年のマクラフリンのバンドでは最強といってもいいだろう。ギンギンにハードな演奏が展開されているのだが、そんな中での3曲目はマハビシュヌ時代の楽曲によく似ているので懐かしさが込み上げてくるし、続く4曲目のようにバラード調の曲もきちんと用意しているのもいい塩梅。こういう曲ではギターシンセに持ち替えたりして、サウンドに変化を与えているのもまたいいね。ただし6曲目だけは少々ポップな気がしないでもない。でもアルバムとしてのいいアクセントにはなっているので、これでよしとしておこう。
バロットの加入によりますます凄みを増した4th Dimensionなので、文句なしの5つ星。これまでブログにアップしているマクラフリンの全てのアルバムも5つ星なのだが、私の場合は大好きなミュージシャンであっても、ダメなものはダメとハッキリ言う(決して盲信はしない)性格でありながらの最高点の連続なので、やはりマクラフリンはどれだけ凄いのかということになる。

評価☆☆☆☆☆ (☆最悪!、☆☆悪い、☆☆☆普通、☆☆☆☆良い、☆☆☆☆☆最高!)