Misha Tsiganov / Dedication

Misha Tsiganov(P)
Alex Sipiagin(Tp, Flh)
Donny McCaslin(Ts)
Boris Kozlov(B)
Gene Jackson(Ds)
Rec. June 4, 2007,NJ
(Tsiganov Music BMI8450149059)

バックのメンバー買い。録音は2007年と少々古めだけど、アレックス・シピアギン、ドニー・マッカスリン、ボリス・コズロフ、ジーン・ジャクソンのそうそうたる面々なのだから聴かないわけにはいかないだろう。これが初聴きのミシャ・シガノフは、本人のサイトによるとロシア出身で、1989年にMelodiyaレーベルで「My Friends」を初レコーディング。1991年にバークリー音楽大学に入学し、現在はNYを拠点に活動中のようだ。これまでにデイヴ・バレンティン、ジョージ・ケイブルス、チコ・フリーマン、ランディ・ブレッカー、マイケル・ブレッカー、ジョー・ロック、マット・ペンマン、アントニオ・サンチェス、トミー・キャンベル、ジョー・チェンバース、ドウェイン・バーノ、ジョーイ・デフランセスコ、エリック・アレキサンダー、ジム・ロトンディといった有名どころと共演しており、上記メンバーとも、特に同じロシア人であるシピアギンとコズロフとは過去に何度も共演している間柄。リーダー作は他に「Tsiganov Brothers(03年、シピアギン、コズロフが参加)」「Always Going West(07年、シピアギン、コズロフ、ジャクソンが参加)」がリリースされている。

シガノフ曲が6曲と、パーカーの「Billie's Bounce」、リチャード・ロジャースの「Could Write A Book」で全8曲。
ハードバピッシュな4ビートが中心。シガノフのピアノはデヴィッド・キコスキやジョージ・コリガンあたりを連想するような、ハンコックを基調としたモーダルなタイプなので私の好みにバッチリ。若干フレーズが粗かったり、バッキング(ブロックコード)のタイミングのずれが見受けられなくもないけれど、そこがまた人間味があっていい塩梅だね。またパーカーの「Billie's Bounce」をリハーモナイズしたりして、作編曲面においてもセンスの良さが感じられる。ただしピアノトリオだけで聴かせるには、「おっ」と思わせるようなプラスアルファが必要かな。そんなこともあってのシピアギンとマッカスリンの参加だと思うけど、この2人のおかげでどの曲も全く退屈することなく楽しませてくれる。純粋な4ビートからコンテンポラリーなジャズまでどんとこいのシピアギンは当然として、普段はオーソドックスな演奏にあまりお目にかかることのないマッカスリンも曲調の枠から変にはみ出ることのないストレートなプレイで聴かせてくれるのだから、さすがとしかいいようがない。もちろんいざというときにはガツンといっているしね。また本演奏ではジャクソンも大活躍。持ち前のエネルギッシュなドラミングでバンドを鼓舞しているし、コズロフの力感たっぷりの武骨なベースもバッチリ嵌っている。そんなバックの4人の上手さやカッコよさがよく目立っていて、なんとなくシガノフの影が薄くなっているような部分もあるにせよ、バンドとしてはなかなかいい感じの現代的なハードバップ・サウンドが楽しめる。
なんて思いながら聴いていたらあっと終わってしまったけれど、実際の収録時間はトータルで58分なので、それだけ演奏内容が充実しているということなのだろう。録音だけはドラムスの音が少々締りがないような気がするものの、本作は買って大正解だった。粗削りではあるもシガノフのことは一発で気に入ったので、今後も注目するとしよう。

評価☆☆☆☆ (☆最悪!、☆☆悪い、☆☆☆普通、☆☆☆☆良い、☆☆☆☆☆最高!)