Christian Scott / Christian aTunde Adjuah

Christian aTunde Adjuah = Christian Scott(Tp, Siren, Sirenette, Reverse Flugel)
Matthew Stevens(G)
Lawrence Fields(P, Rhodes, Harpsichord)
Kristopher Keith Funn(B)
Jamire Williams(Ds)
Kenneth Whallum III(Ts)Disc2,5, Corey King(Tb)Disc1,9, Disc2,4,8,10, Louis Fouche(As)Disc1,5, Disc2,8
Rec. July 20-22, 25-27, 2011, NY
(Concord Jazz 7233237)

カッコつけな部分がイマイチ好きになれないでいるクリスチャン・スコットだが、バンドのサウンドは決して嫌いではないし、「Stefon Harris, David Sanchez, Christian Scott / Ninety Miles(11年、別頁あり)」での真摯なプレイも素晴らしかった。本作ではご先祖様の姓らしきものをわざわざ用いているということは、音楽的にもそれ風なことをやっているということなのかな。初の2枚組ということで、アルバム作りには相当気合が入っているようだ。メンバーは前作「Christian Scott/Yesterday You Said Tomorrow(10年、別頁あり)」から、ピアノだけがミルトン・フレッチャーJrからローレンス・フィールズという、またまた知らない人に代わっているけれど、自ブログで検索したら、「Jeff “Tain” Watts/Watts(09年、別頁あり)」「Terri Lyne Carrington/More to Say...(09年、別頁あり)」に参加しているのが見つかった。その中の「More to Say...」ではプログラミングも担当しているということは、もしかするとそっち方面のエレクトリカルな才能が買われての起用なのかな。もちろんジェフ・ワッツとも共演しているぐらいなので、肝心のピアノの腕前もかなりのものなのだろう。

スコット曲が17曲、フィールズとの共作が1曲、クリストファー・キース・ファンとの共作が1曲、マシュー・スティーヴンス、フィールズ、ファン曲が各1曲、フィールズとジャマイア・ウィリアムスの共作が1曲で全23曲。
いかにもスコットらしいコンテンポラリー(非4ビート)なジャズが展開されているのだが、悲しみを帯びたような旋律が多く登場するあたりは、アフロアメリカンなのかネイティヴ・アメリカンなのかは分からないが、ルーツ的なものを自分なりに表現しているということなのかもしれない。そんな中、朗々と歌い上げているスコットのトランペットは、場面によってはハイトーンも駆使していたりしてインパクトもタップリ。そう思いながら聴いていると、4曲目でのミュート奏法にはやっぱりマイルスの匂いが感じられたりして、曲調に応じていかようにも吹くことができるスコットではあるけれど、またさらにテクニックに磨きが掛かっているような印象を受ける。ただし物語性のある楽曲は、打ち込みとまではいかないものの、中にはリズムトラックだけを先録りしているような感じの、いくぶん無機的なサウンドの曲調のものもあるし、中途半端に終わってしまう曲もあったりするので、全面的に共感できるというわけではないけどね。でもそういう曲があるおかげで、逆にメンバーが一丸となってのエネルギッシュな演奏が引き立つわけなので、これでよしとしておこう。アルバムの前半ではスコットだけが目立ってしまっているけれど、他のメンバーの見せ場も次第に増えてきて、特にスティーヴンスとウィリアムスは存在感のあるプレイで楽しませてくれるので(フィールズもエレクトリカルな部分ではなく、純粋にピアニストとしての腕前を買われたようだ)、ワンマンな印象もそんなには受けない。とはいえどれもが似たような雰囲気の曲調なのに加えて、2枚組みでトータル約2時間もあるので、聴き終わった後にはドッと疲れてしまう。
2枚目の方に比較的ノリのいいビートの曲が多く収録されているとはいえ、1枚目とのメリハリをもっとつけて、サウンドに変化を与えた方がよかったのではと思う。私としては1枚目と2枚目のどちらかだけで充分だね。

評価☆☆☆☆ (☆最悪!、☆☆悪い、☆☆☆普通、☆☆☆☆良い、☆☆☆☆☆最高!)