Luis Perdomo / Universal Mind

Luis Perdomo(P)
Drew Gress(B)
Jack DeJohnette(Ds)
Rec. August 15-16, 2009, NY
(RKM Music RKM1164)

ベネズエラ出身のルイス・ペルドモ(1971年生まれ)の、「Luis Perdomo/Pathways(08年、別頁あり)」に次ぐ4枚目のリーダー作(2010年リリース)。近々Criss Crossからも第二弾の「Luis Perdomo / Infancia Project」がリリースされるし、先日聴いた「Joe Sanders / Introducing Joe Sanders(別頁あり)」にも参加していたりと、ミゲル・ゼノンのバンド以外でもノリに乗っているペルドモだが、今回はジャック・ディジョネットが参加しているのが興味深い。おそらくラヴィ・コルトレーンのバンド(「Ravi Coltrane/In Flux(05年、別頁あり)」「Ravi Coltrane/Blending Times(09年、別頁あり)」)でも一緒のドリュー・グレス絡みで共演が実現したのだと思うけど、グレスとディジョネットは「Antonio Farao/Thorn(00年)」「Fumio Karashima/Great Time(06年、別頁あり)」「John Surman/Brewster's Rooster(09年、別頁あり)」でも素晴らしいコンビネーションを見せていたので、ここでのプレイも楽しみにしている。クレジットを見るとエグゼクティブ・プロデューサーがラヴィ・コルトレーン、プロデュースがペルドモとなっているけど、どうせならラヴィも何曲かに参加していればますます面白いことになっていただろう。

ペルドモ曲が5曲、ディジョネットとの曲作が2曲、ディジョネットの「Tin Can Alley」、ジョーヘンの「Tetragon」、ミリアム・サリバンの「Dance of the Elaphants」で全11曲。
「Luis Perdomo/Pathways」と同様4ビートが主体。「Joe Sanders / Introducing Joe Sanders」ではイマイチ覇気が感じられなかったペルドモだけど、本作ではさすがにディジョネットと共演しているだけあって気合の入り具合が半端ではない。自分の持っているあらゆるテクニックを駆使しながらテンションの高いピアノを弾いていて(もちろん歌心も大事にしながら)、そのカッコよさをたっぷりと見せつけてくれる。ディジョネットがダイナミックなドラムソロを取っていることもあって、わたし的にはもう1曲目の「Tetragon」からノックアウトされるのだが、続くリリカル性の強い2曲目も甘さに流されることのない緊張感のある演奏で聴かせてくれるし、ディジョネットのソロを大々的にフィーチャーした3曲目も完全に私好みの曲(アップテンポの4ビート)なのでウハウハ状態で楽しめる。やはりこのように共演者の持ち味が最大限に発揮されていないと面白くもなんともないんだよね。ジャズアルバムの中には単に売るためだけに有名どころを集めているようなケースも見受けられるけど、たとえ音楽的にいいことをやっていたとしても、プレイ的な欲求不満が残ってしまうのは否めない。その点本作はディジョネットの魅力が満載で、リーダー作の近作「Jack DeJohnette / Sound Travels(12年、別頁あり)」よりもはるかにアグレッシブなドラミングで魅了させてくれるのだからなんともたまらない。またグレスもディジョネットと共演する機会が多いだけあって、相性バッチリのベースで聴かせてくれる。そんな二人が真剣勝負で挑んでいるので、ペルドモも普段以上に気合が入っているといった構図となっているのだが、演奏自体は曲によってきちんと緩急のメリハリをつけているので、聴き疲れするということは全くない。そんな中ディジョネットの点数の多いドラムセットをメロディアスに活用(アリ・ホーニグの高度なメロディ奏法とは違い、こちらの方はタムがそのまま音階になっているだけの単純なもの)したペルドモとの即興デュオの4曲目(スタンダーズ・トリオ結成前のキースとディジョネットの共演盤を連想させる)がユニークだし、同じくデュオの6曲目でのお互いの出方を探り合いながらの演奏もなかなかスリリングだし、続くディジョネット曲の7曲目「Tin Can Alley」(「Jack DeJohnette's Special Edition/Tin Can Alley(80年)」に収録されていた)は、もうこの曲を取り上げているだけでも嬉しくなってしまう。その演奏がまた昔よりも凄いことになっていて、最後の方はフリーにまで突入しているのだから聴き応えも充分。ラストの11曲目なんかもモーダルな演奏(ロングドラムソロもあり)も最高にカッコいいね。他の曲もどれもが甲乙つけがたいほどにワクワクさせてくれるし、予めこのメンバーを想定して作った思われるオリジナルの楽曲自体も素晴らしい。
そんな演奏にはなにも文句はないのだが、録音は各楽器の輪郭が少々ぼやけてしまっているのが残念。温かみのある音質は私好みだとしても、ディジョネットのドラムスの特性を生かすのであれば、もう少しカチッとした硬質な音で録った方がよかったと思うけどね。でも不満な点はそれだけだし、思いっきり本領を発揮しているディジョネットを久しぶりに聴くことができたので、これはオマケして5つ星にしておこう。
と思ったけれど、パソコン(iTunes)に取り込もうとしたら、信号を全く感知しない(これまでCDプレーヤーではかからないけどパソコンではオーケーというパターンはよくあったが、本盤はその逆)ので、やっぱりやめておく。

(6/22追記)CDが悪いのではなく、パソコンの不具合が原因だったことが判明したので、5つ星に訂正します。

評価☆☆☆☆☆ (☆最悪!、☆☆悪い、☆☆☆普通、☆☆☆☆良い、☆☆☆☆☆最高!)