Branford Marsalis Quartet / Four MFs Playin' Tunes

Branford Marsalis(Ts, Ss)
Joey Calderazzo(P)
Eric Revis(B)
Justin Faulkner(Ds)
Rec. October 11-12, 2011, NC
(Marsalis Music 94600180)

長年メンバーを固定してやってきたブランフォード・マルサリス・カルテットだが、本作ではドラマーがジェフ・ワッツからジャスティン・フォークナーという、まだ二十歳前でバークリー音楽大学に在学中の新人を起用しているのが興味深い。他のバンドならいざ知らず、ブランフォードのカルテットに抜擢されたのだから、きっとかなりのやり手なのだろう。MySpaceのバイオを見ると、オリン・エヴァンス、クリスチャン・マクブライド、ジミー・ヒース、ラヴィ・コルトレーン、トニー・ウィリアムス、ボビー・マクファーリン等の他に、バーナード・パーディ、デニス・チェンバース、ジャマラディーン・タクマ、ヴィクター・ウッテンの名前も並んでいるので、音楽の幅が純ジャズからファンク系まで広そうな印象を受けるのだが、はたして本カルテットではどのようなプレイをしているのか楽しみだ。

ブランフォード曲が3曲、ジョーイ・カルデラッツォ曲が2曲、エリック・レヴィス曲が2曲、モンクの「Teo」、Leo Robin/Newell Chase/Richard A.Whitingの「My Ideal」で全9曲(ボーナストラックの1曲を含む)。
まずはフォークナーのドラミングだけど、そのフレーズといい攻撃性といい前任のワッツによく似ている。おそらくワッツに師事したか、あるいはCDやDVD等で相当研究していると思うのだが、ドラムスの音まで似ているということは、楽器も同じSonorを使っているのかもしれない。ミディアムテンポ以上の曲ではのべつ幕なし叩きまくっているのは、さすがの私もやりすぎのような気がするのだが、そのように叩くようブランフォードが指示しない限りはもっと遠慮して叩くはずなので、フォークナーの思い切りのよさと同時に、その能力を最大限に引き出してやろうとするブランフォードのリーダーとしてのあり方にも感心する。その期待に応えてフォークナーが元気溌剌なドラミングをしているおかげで、これまでもエネルギッシュな演奏を展開してきたブランフォード・カルテットではあるけれど、さらに活力がアップしているような印象を受ける。それには楽曲的なこともあり、今回は動的な曲が多く用意されているので、よりそのように感じるのだが、こうなると近年は大人し目な方向性が目立っていたカルデラッツォは、以前のようにガンガン攻めざるを得ないところを、あえて半分の音数で弾いているような場面も見受けられたりして、これまでとはまた一味違った手法も用いながらアグレッシブさやスリリングさを打ち出しているのが面白いし、フォークナーのドラミングには全く動じることなく、普段どおりのプレイをしているブランフォードもさすがとしかいいようがないし、ガッチリと土台を押さえているレヴィスのベースも、いつものことながら素晴らしい。
演奏はどの曲もみんな良いのだが、特に7曲目ではフリーな展開まで見せているのが聴きもの。続く8曲目「My Ideal」と9曲目(ボーナストラック)では対象的にリラックス感溢れる演奏をしていて、その辺のメリハリがついたアルバムの構成力も見事だし、録音もシンバルが小さく録れている以外は良好だね。完成度が高かった前作「Branford Marsalis Quartet/Metamorphosen(09年、別頁あり)」には及ばないけれど、ワッツが抜けてしまった穴埋めはフォークナーがきちんと果たしているので、バンドとしてのさらなる飛躍と同時に、フォークナー個人の今後の活躍にも期待している。

評価☆☆☆☆ (☆最悪!、☆☆悪い、☆☆☆普通、☆☆☆☆良い、☆☆☆☆☆最高!)